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第3話

やってしまった……
背後から、足音が近づく。
??
わざわざこんなとこに呼び出して、どうしたの?

その疑問はもっともだ。


私は肩を震わせながら振り返り、ぎゅっと目をつむったまま口を開く。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
ずっと前から、好きです……! 私と付き合ってください!

歯がかち合って噛みそうになったけれど、典型的かつ分かりやすい告白の言葉を伝え、私はどうにか頭を下げた。


シン、と場が静まり返る。


響希くんなら何かしら言いそうなものなのに、何もないのが怖くて、私は恐る恐る目を開けた。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
えっ……
絶句する。


そこにいたのは、響希くんではなく、あの水瀬はるかだったから。


彼は驚いたような、嬉しそうな、なんとも言えない表情をしている。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
…………

ただただ呆然と、立ち尽くすしかない。


――告白の相手が、違うのだから。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(なんで、水瀬くんがここに!? め、メッセージ……送る相手を間違えた!?)

驚きの次は、焦りだ。


自分でも青ざめているだろうと分かるくらい、血の気が引いていく。
水瀬 悠
水瀬 悠
いいよ
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
……!!

違う、相手を間違えた。


そう訂正したいのに、言葉は出てこないし、水瀬くんはまさかの承諾してしまった。


彼は頭をいて照れくさそうにしながら、ふと、放送機材へ視線を向ける。
水瀬 悠
水瀬 悠
あ……これ、マイク入ってる?
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
……へっ?

マイクのボリュームスイッチが、引き上げられたままだったらしい。


直前に使った人が、切るのを忘れていたのかもしれない。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(誰でもいいけど、なんてことをしてくれたの!?)

水瀬くんは冷静にスイッチを下げ、主電源を落とした。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(どうしよう、どうしよう、どうしよう……!!)

私の告白、しかも相手を間違えたものが、校内全域に流れてしまったのだ。


放課後とはいえ、教室に残る生徒、部活に励む生徒、そして先生たちにも聞かれたことになる。


放送室を使う人物、そして聞き慣れた声に、誰が誰に告白したかくらいはもう伝わっただろう。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
ひ、ひえっ……
水瀬 悠
水瀬 悠
大丈夫? まあ、これに関してはドンマイだったね

思わず絶叫しそうになると、水瀬くんは口角を上げて笑いながらも慰めてくれる。


だけどそんなものじゃ、このやってしまった感は埋められそうにない。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
穴があったら入りたい……
水瀬 悠
水瀬 悠
あはは。
会長、やるじゃん

涙が目にたまる。


緊張のあまり、扉に背を向けてしまったこと。


相手の顔も見ずに告白してしまったこと。


そもそも声の違いで判断できなかったこと。


後悔しても、時既に遅し。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
はっ……! あ、あの!
水瀬 悠
水瀬 悠
何? さっきから反応がいちいち面白いんだけど

水瀬くんはいつもの調子でからかってくる。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(告白相手が違うって、どう説明したらいいの……?)

彼は、自分が告白されたものだと思っている。


しかも、全校生徒に聞かれながら「いいよ」と返事した。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(ん? 水瀬くんは、私と付き合ってもいいって思ってる?)

顔を跳ね上げ、彼を凝視しながら考える。
水瀬 悠
水瀬 悠
ほんと、どうしたの?

もしここで相手を間違えたと取り消したところで、放送を聞いていた人たちは私たちが付き合うものだと思っている。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(これ、取り消せないんじゃ……?)

自分のしでかしたことの大きさに、改めて気付く。


よりによって、苦手な水瀬悠に告白してしまうなんて。


【第4話へつづく】