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第9話

女の子が言われて嬉しいこと
一瞬の迷いはあった。


さっきは嫌だと突っぱねた手前、今更という気持ちもある。


けれど、もう嫌だとは思わなかったのだ。


水瀬くんに差し出されたポテトを、そのまま口にくわえて食べると、水瀬くんはなぜか視線を横に逸らした。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
どうしたの?
水瀬 悠
水瀬 悠
いや……それは不意打ちだろ……

水瀬くんの言い方は苦しげで、しかもその顔は少し赤い。


私はさあっと青ざめた。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
え? もしかして、これ冗談だったの?
食べたかった!?
食べちゃったから、怒って、る……?
水瀬 悠
水瀬 悠
はあ……!?
…………。
あ、はは……ちょっと待って

さっきまで苦しんでいたはずの水瀬くんは、首を横に振って笑い出した。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(なんなのこの人、意味が分からない……)

今度は私の顔が引きつる番だ。
水瀬 悠
水瀬 悠
いや、だから。
急にかわいい爆弾を食らったから、びっくりしただけだって
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
え? なにが?
水瀬 悠
水瀬 悠
もうやだ、この人。
超鈍感……。
会長が、かわいかったからって言ってるでしょ
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
か、かわ……っ! わた、私が!?

水瀬くんが頷き、私は両手で顔を覆った。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(『かわいい』なんて、初めて言われた……)

顔が熱い。


水瀬くんが笑う声がして、きっとこれもリップサービスだと思うのだけれど。


本気にしないようにと努めても、やっぱり嬉しかったらしい。


家に帰ってからも、勉強机に向かいながら、時折頬が緩んでしまった。


『氷姫』と呼ばれている自分にも、かわいくなれるチャンスはあるのか。


いつか、響希くんに振り向いてもらえるのだろうかと、期待してしまう。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(でも、その前に……水瀬くんとのこと、どうにかしないと)

彼が何を思って私と付き合っているのか。


彼の考えていることを当てて、いずれ別れなければならない。


チャンスは二回だから、慎重に。


最初は、からかっているだけだと思っていたけれど。


人にバラされたくないような秘密を私には明かしてくれたり、素で照れていたりと、単なる遊びだけだとは思えない面も出てきた。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(もしかすると、水瀬くんは本当に私が好き……? いや、いやいやいや、ないない)

モデルもこなせて、学校では少なからず女子生徒に好かれているようだし、彼が私なんかを好きになるはずがない。


間違えて告白されたのをきっかけに、楽しんでいるだけなのが、濃厚だ。



***



週が明けて、月曜日。


今日は生徒会の挨拶運動があるから、早めの登校をする日だ。
黒須 響希
黒須 響希
あ、おはよう
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
早いね。
おはよう

教室には既に響希くんが来ていた。


いつもと変わらない響希くんの笑顔に、私もつられて笑ってしまう。


そして、久しぶりのふたりきりの教室は、安心するのと同時に、なんだか少しドキドキして。
黒須 響希
黒須 響希
土日はしっかり休めた?
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
うん。
バイトはどっちも入ってたけど、休めたよ。
そっちは?
黒須 響希
黒須 響希
俺も、花屋のバイトはあったけど、いつも通り

日常が戻ってきたような感覚。


響希くんの傍が、私にはしっくりきて、一番落ち着く。
水瀬 悠
水瀬 悠
おはよー

そう思っていると、水瀬くんが隣のクラスからやってきた。


【第10話へつづく】