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第6話

知らなかった一面
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
ふう……

気が付いたら溜め息がこぼれている。


あれから数日が過ぎ、今日は金曜日。


週に一度、生徒会活動が休みの日だ。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(今日はカフェのバイトも休みだし……家でゆっくりしよう)

カフェのバイトは週に三~四回、主に休日に入っている。


いざという時は、水瀬くんの誘いを断る時の言い訳にさせてもらおうと思っているけれど、今日はまだ使いたくない。


早いところ帰ってしまおうと、そそくさと教室を出た矢先。
水瀬 悠
水瀬 悠
あ、会長
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
うっ……

運悪く、水瀬くんに見つかってしまい、頬が引きつる。


鞄を提げているところを見ると、一緒に帰ろうとやってきたようだ。
水瀬 悠
水瀬 悠
こら。
それは彼氏に見せる表情じゃないでしょ。
笑顔、笑顔

水瀬くんは小声でそう言って、笑いながら私の両頬をつねる。


その様子に、周囲の女子生徒がざわついた。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
ん~!
水瀬 悠
水瀬 悠
あはは
黒須 響希
黒須 響希
ふたりが仲いいのって、やっぱりなんか新鮮だな

響希くんが教室から出てきて言う。


告白の日まで、生徒会以外での交流なんてなかったのだから、そう思われて当然だ。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(本当に好きな人には勘違いされてるし……複雑)

水瀬くんは私の頬を解放すると、響希くんに対して得意気に笑って見せた。
水瀬 悠
水瀬 悠
クラス推薦で生徒会に入ったのは仕方ないと思ってたのに、今はよかったと思ってる
黒須 響希
黒須 響希
そうか。
それなら俺も嬉しい

響希くんと水瀬くんは、中学の頃から仲がいいというのは聞いていた。


実際、二年生の生徒会役員選挙で水瀬くんが当選した時、響希くんは嬉しそうだったし、本当なのだろう。


でもそのふたりの間で、恋愛におけるあれこれは共有されていなかったらしい。
水瀬 悠
水瀬 悠
よし、会長。
今日はせっかく時間があるんだから、デート日和だ
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
デっ……えっ!?
水瀬 悠
水瀬 悠
生徒会の仕事はなし、会長はバイトもなし、だったよな?
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
そうだけど……!

また強引に腕を引かれる。


背後を振り返れば、響希くんが笑いながら手を振っている。


放課後デートにずっと憧れてはいたけれど、それは相手が好きな人の場合であって、こういう形での実現を望んでいたわけではない。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(気が乗らない……)

隣にいるのが響希くんだったらいいのに、なんて、水瀬くんには失礼なことを考えながら。
水瀬 悠
水瀬 悠
次、こっちな
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
どこに行くの?
水瀬 悠
水瀬 悠
着いてからのお楽しみ

水瀬くんは電車を乗り継いで、高校生はあまり見かけないオフィス街へと進んでいく。


若者が遊ぶような場所ではないことくらい、私にだって分かる。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(な、なんか危ないことしようとしてるんじゃないよね……?)

不思議と不安が混ざったままついていくと、水瀬くんはとあるビルに入った。


様々な企業が集まる、複合ビルのようだ。


一緒にエレベーターで上がって、到着した先は――。
水瀬 悠
水瀬 悠
お疲れさまです
女性スタッフ
女性スタッフ
あ、カミルくん。
お疲れさま

カメラのフラッシュ、白い壁に、ポーズをとっている男性の姿が奥に見える。


どう考えても、撮影スタジオだ。


そして、水瀬くんは聞き間違えでなければ、別の名前で呼ばれたと思う。
水瀬 悠
水瀬 悠
今日は、ひとり見学させてもいいですか?
女性スタッフ
女性スタッフ
ん? 友達?
水瀬 悠
水瀬 悠
彼女です
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
!!

水瀬くんはさらっと私を紹介した。
女性スタッフ
女性スタッフ
へえー、彼女連れてきたんだ?
邪魔しないなら、いいよ
水瀬 悠
水瀬 悠
ありがとうございます
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
えっ? え?

私が何事かと目を丸くしている間に、水瀬くんは近くにあった雑誌を手に取って広げ、私に見せてくる。
水瀬 悠
水瀬 悠
俺、ここでモデルやってるんだ
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
モデル……。
も、モデル!?
水瀬 悠
水瀬 悠
まあ、響希は知ってるけど……。
基本的に信用している人以外には言ってないから。
絶対に、他の人には内緒な?

悪戯いたずらっ子のように笑いながら、彼は言う。


私は受け取った雑誌をパラパラとめくってみた。


十代から二十代の男性向けファッション雑誌。


その中に、まるで別人のように格好いい水瀬くんの姿が写っている。


あのアンニュイな表情はもちろん、カメラを意識したクールな表情から、笑顔まで。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
う、わ……

衝撃と謎の感動で、私は言葉を失ってしまった。


【第7話へつづく】