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第13話

最後の罠
水瀬 悠
水瀬 悠
ふっ……。
あははっ!
残念、不正解!
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
え……。
ほ、本当にからかってないの?
たくさん意地悪するじゃない!
水瀬 悠
水瀬 悠
あのね、男は意地悪して楽しむやつが多いの。
覚えておきなさい
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
なっ……。
開き直らないでよ!
本当の本当に、正解じゃないんだよね?

悠は大きく頷いた。


そこに嘘はないと、私は信じるしかない。


悠がまた笑ってくれたことに安堵しつつも、一方で、追い込まれた現状に焦りが生まれる。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(悠の言葉は……確かにいつも嘘がなくて、真っ直ぐだ)

いくら鈍い鈍いと言われても、彼がひねくれ者でないことは、薄々感じ取っていた。


ならば、一度は打ち消した可能性――『私のことが好き』という答えが浮かび上がってくる。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(もしかすると、本当に私のことが好きなのかもしれない)

でも、それを口には出せない。


もしもそれで間違えたら、恥ずかしいどころではないし、私は彼と別れられなくなってしまう。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(あと少し、考えてみよう……)

私が考え込んでいる間、悠はずっと隣を歩いていたけれど、多くを語ることはなかった。
水瀬 悠
水瀬 悠
……そうやって、俺の気持ちを一生懸命考えるんだ
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
ん? 何か言った?
水瀬 悠
水瀬 悠
いや、何も

家に着く前、悠が何かを呟いていたようなのだけれど、車の走行音が邪魔をして、聞き取ることができなかった。



***



約二週間後、生徒会室。


文化祭を目前に控え、準備が本格的に慌ただしくなってきた。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
えっと、全体費用の再算出、会計終わってる?
生徒会役員
生徒会役員
ごめん、まだ!
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
各クラスの催し物の精査と、校内配置図は、進捗どのくらい?
生徒会役員
生徒会役員
七十パーセントくらいかな
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
進行プログラムの作成、は今やってて……。
あ、必要備品の再リストアップ!
黒須 響希
黒須 響希
それは悠がやってくれてるから、大丈夫。
雪乃、落ち着いて
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
う、うん……!

忙しくなると、途端に思考回路が飛んでしまう。


役員には、いつも的確な指示出しができていなくて、本当に申し訳ない。


こんな時も、響希くんは支えてくれる。
黒須 響希
黒須 響希
来賓の座席リストは、さっき職員室に確認をもらえたからチェック済み。
必要備品の確認が終わってないから、佐竹さん、この後備品庫に行ける?
生徒会役員
生徒会役員
分かりました!
黒須 響希
黒須 響希
次は……

他の作業をしていたはずの響希くんが、すかさず資料を確認して役割を振っていった。


私も退任するまでにはこうなりたいのに、自信はどんどん萎んでいく。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
はぁ……ごめん、響希くん
黒須 響希
黒須 響希
雪乃も指示出し頑張ってたよ。
誰も怒らないから、ゆっくり考えれば大丈夫。
何か言われたら、その時話し合えばいいんだ
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
うん……。
ありがとう

幾度となく、この優しさに支えられてきた。


染み入る温もりにジーンとしながらも、作業をひとつひとつ潰していく。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(響希くんに頼りっぱなしじゃダメだ。生徒会長は、私なんだから!)

作業をしながら、私も自ら声を出して、連日の準備で疲れているみんなを鼓舞した。


それだけでも、私がここにいる意味があると思うから。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
みんなお疲れさま!
今日は、最低でも行程のここまで終わらせよう!
明日できることは明日に回してもいいから
生徒会役員
生徒会役員
お、分かった!
生徒会役員
生徒会役員
文化祭が終わったら、絶対に打ち上げしようね!

心なしか、みんなが元気になってきた気がして、嬉しかった。


その時ふと、視線を感じて、横を振り返る。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
……!

悠が手を止めて、私をじっと見つめていた。


温もりのこもったその視線に、ドキリとする。


あの日以来、まだ二回目の回答に挑戦できていなくて、関係はぎこちないままだ。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
悠、サボらないで!
水瀬 悠
水瀬 悠
ちょっと休憩してただけだよ。
雪乃こそ、働き詰めで倒れるなよ?
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
そんなにヤワじゃないから、大丈夫
黒須 響希
黒須 響希
……え?

憎まれ口を叩き合っていると、響希くんが急に声を上げた。


【第14話へつづく】