レストランに来た。美味しそうな料理の名前ばかり載ったメニューから、私はカレーを選んだ。
お会計し終わり、店から出ると章ちゃんが急に言った。
何か不思議に思い、章ちゃんが向いていた方向に目をやると
そこには忠義がいた。マスクしてるし、変装はしているけど、どこからどう見ても忠義だった。
しかも隣には女の人。仲良さそうに腕を組んで店の前のメニューを見ている。
章ちゃんは黙り込んでいた
私は忠義の所に行った。
忠義は黙り込んでなんにも話してくれない。
私は隣にいる女の人に聞いた。
”彼女”という言葉を聞いて唖然とした。あと、”たっちょん”と呼んでることも。
そして、忠義の”彼女”は章ちゃんを見ると顔がパァっと明るくなり章ちゃんに抱きついた。
しかも”章大”呼び。
章ちゃんはその”愛”という人の体を自分の体から離した。”愛”っていうんだこの人。色々ありすぎて何が何だかもう分からない。
忠義はもう今までの優しい忠義じゃなくなってしまった。
私なんか眼中になかったんだ。忠義の中に私はいなかったんだ。そう思うと涙が出てきた。
愛さんは忠義に聞いた。
章ちゃんがこんなに怒っているのを始めてみた。
愛取られた?どういう意味だろう
店に入るつもりだったんだろうけど、別の方向に行ってしまった。
私の顔は涙でぐしゃぐしゃだった。それを隠すように章ちゃんは私を囲うようにして立ってくれた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。