第26話

story25.
2,313
2020/12/16 06:40















恭「…おい、やめろ」










「もうやめてください。前方不注意は貴方もでしょ?……こんなに謝っとるのに、」









『 ……おい兄ちゃん、こっちは謝る気がなさそうだけど?』




















正直こんな人相手にしたことないし、怖くて怖くてたまらないけど。




恭平は私のとって不仲でも大事な人だから。























恭「…そいつには手を出さないでください」









『 あのさぁ?謝ったら許されるなんて世の中舐めてんの? 』









「…きゃっ、」




















肩にドンッ、と衝撃。





突き飛ばされてその場に尻もちをついてしまう、









と思ったけど力強く支えられて。




















「……恭平、」










恭「…おい、なにしてくれてんねん」






















私を受け止めたまま、恭平は聞いたことも無いめちゃくちゃ黒い声を出した。




声だけでつたわってくる、静かな怒り。




私のことを背中で隠すように守ってくれてる。






















恭「…こいつに謝れよ」



















こんな恭平見たことない。




長年過ごしてきて氷河期とか不仲ップルとかずっと言われてきたけど、それでも一緒にいた私たち。






















…どうしよう。もしこの場面を誰かに見られて、悪いように書かれたら。




喧嘩沙汰とか、私のためにしてくれているこの行動が裏目に出たりしたら。




















「…………っ恭平、」










恭「…大丈夫やから。そばにおって」

























あれ、いつからこんなに頼りがいのある背中してたっけ。




私より小さくてひょろひょろだったくせに。


























『 なに怒ってんの、冗談じゃん… 』










恭「…そういうのええから。謝れよ」










『 ああ、ごめんごめん………あ〜、もう時間ないから行くわ 』

























逃げるみたいに去っていったその人。




体中の力が抜けるみたいに脱力したのに、手だけは恭平の袖を掴んでて離さない。
























恭「…なに、びびってんの?笑」









「………ありがと」









恭「こちらこそありがとな、庇ってくれて」





















余裕そうに頭を撫でるからなんか恭平が大人になったみたいで、悔しいし、なんか寂しい。

























恭「あー、おかげで眠気吹っ飛んだわ」









「え?眠かったん笑」










恭「あー、まあな。だからちょっとイライラしてたやろ?」











「…子供か、」





























ああ、前言撤回。







全然大人なんかじゃなかった。














置いていかれてなくて、ちょっと安心した。

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