ふと核心をつかれたら、なんていえばいいかわからなくなる。
ただ、静かに頷くことしか。
『 ずっとその人のこと好きな自信、あるでしょ? 』
「……ある、、」
『 じゃあ頑張らなきゃね。俺も応援してる 』
いつかダシに使っていいから、そう言って笑う彼はやっぱり大人だ。すごく。
なんだか心の内を暴かれた気がして、お酒が進む。
体の暑さと、お酒を飲んだ時特有の、人肌恋しさ。
ちょっと離れたところにいるけどのみすぎないでね、そう言って彼は私の頭を撫でて再び監督の元に行った。
…………恭平に会いたい。
私のことを好きになってくれなくてもいいから、そばにいて欲しい。
飲みすぎたら叱って欲しいし、叱ったと思えば呆れたように笑って欲しい。
不仲の関係でもいいから、そばにいさせて欲しい。
LINEのトークルームを覗いたって、恭平からなにか届いているわけじゃなくて。
更新された日刊を読んで、恭平らしさが滲む文章に泣きたくなった。
今更、気づいちゃうなんて馬鹿だな。
きっとこの淡い感情は昔からあったはずなのに、、見ないふりをしていたから。
もっとはやくきづいていたら、なにか変わってた?
そんなことを思ったって、どうにもならない事なんてわかっている。
………なにか送ってみようかな。
だけどまた拒絶されたら、立ち直れないな。
なんて堂々巡りで、お酒がどんどん進む。
……これ以上飲んだらだめなやつだ。
そう考えながらも、睡魔は襲ってきていて。
夢の中では恭平は優しくて、笑いかけてくれるから……それにすがりつきたくなって。
『 あなたちゃん? 』
まどろみの中で私を呼ぶ声に、腕を伸ばした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!