恭平side
普段より心做しか背中が小さく見えるあなたは、この間のことを気にしているんかな。
必要以上に俺に近ずいてこないし、なんならちょっと……避けられているというか。
なんだか前の距離感に戻った気がする。
……俺やってきにしてないわけじゃないし、どういうつもりだったのかだって問いただしたい気持ちはあるし。
でもそんなことをして、前よりも距離が離れて、、また不仲って騒がれてしまうのは嫌やから。
何も言わず、スマホに視線を戻す。
、、、柔らかかった。
いかにも女の子って感じの、、柔らかさと甘い匂いが鼻を掠めて。
急でびっくりしたっていうのもあるけど、かなりドキッと……したなぁ。
雑誌の撮影の時とは違って誰もいない、2人だけの空間であんなこと、したから。
あの時の淡い恋心みたいなもんが、ぶり返しそうでため息をつく。
あいつは、大事なメンバーの1人。
おれとあなたなら納得するんやない、なんてみっちーには笑われたけどそれでも…この気持ちはやっぱり抑えるべきで。
あの時の俺の選択は間違ってなかったと思う。
俺はあいつとの関係を、どうしたって崩れることのないメンバーという関係性でとどめておきたいだけなんかな。
壊れるのが、怖いんかな。
だから俺は、この気持ちに蓋をする。
…例えまた、あなたを傷つけてしまったとしても。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!