次の日の14時。
天気、大雨。
部屋で単行本の修正やら
なんやらかんやらをしていると、
ピーンポーン
とインターホンが鳴った。
おやおやおや?
誰だろ?
影山?
間違えてんのかな?
それより、この声聞き覚えが…
声に聞き覚えがあっても
誰かわからないので、
チェーンをかけてそーっとドアを開けた。
ずぶ濡れの翔陽さんだった。
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日向side
あなたは、けっこういい人だった。
白いタオルと、
「兄のなんですけど……」って言って
よくわからない魚が印刷されたTシャツと
稲荷崎と刺繍されたズボンを
貸してくれた。
下着はさすがに無いらしい。
傘は折れたけど、
なんとなく満たされた気分だった。
結果オーライというところか。
するとあなたはふふっと笑った。
あなたが、
「飲み物とってきますね!」
って言って台所に立ったので
俺は部屋の中をくるりと見渡した。
また、あなたは笑った。
笑ったら目が線になるんだなと思った。
歯が白いなあとも思った。
綺麗だなあと思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。