第15話

綺麗
2,497
2021/06/05 10:27
次の日の14時。
天気、大雨。

部屋で単行本の修正やら
なんやらかんやらをしていると、

ピーンポーン
とインターホンが鳴った。

おやおやおや?
誰だろ?
???
おーい影山あ!
影山?
間違えてんのかな?

それより、この声聞き覚えが…
あなた
あ、え?
声に聞き覚えがあっても
誰かわからないので、
チェーンをかけてそーっとドアを開けた。
日向翔陽
え?あなた?(同時)
あなた
わあ!翔陽さん?!
(同時)
ずぶ濡れの翔陽さんだった。
日向翔陽
なぬ?!
影山ん家じゃないだと?!
あなた
隣……です。
日向翔陽
マジ?
あなた
あ、影山さんなら、
さっき出掛けてましたよ?
日向翔陽
え?!
あなた
うちのアパート、
壁が薄いからドアが
開いたりしたら
わかるんですよ。
日向翔陽
ほぇー
あなた
よ、よかったら、
あがりますか?
そんなにずぶ濡れだと
風邪引きますよ?
日向翔陽
あー、お願いします。
────────────

日向side
あなたは、けっこういい人だった。

白いタオルと、
「兄のなんですけど……」って言って
よくわからない魚が印刷されたTシャツと
稲荷崎と刺繍されたズボンを
貸してくれた。
下着はさすがに無いらしい。
傘は折れたけど、
なんとなく満たされた気分だった。
結果オーライというところか。
日向翔陽
あなた、ありがとな!
あなた
あ、入りました?
それ、兄ちゃんが
高校生のときに着てたから
どうかなと思ったけど
日向翔陽
問題なし
するとあなたはふふっと笑った。
あなたが、
「飲み物とってきますね!」
って言って台所に立ったので
俺は部屋の中をくるりと見渡した。
あなた
あ、部屋汚いですよね。
今単行本の作業中で、
日向翔陽
綺麗だと思うよ?
俺とか影山の部屋、
タオルとかシャツから
靴下からパンツまで
いたるところに
転がってるし
あなた
流石にそれはないです。
日向翔陽
ふはは
あなた
あ、コーヒーで
よかったですか?
日向翔陽
おかまいなく。
あなた
翔陽さん、影山さんに
用があったんですか?
日向翔陽
やー、傘が折れちゃって。
あなた
わー、それは大変。
日向翔陽
日頃の行いかな……
あなた
そうかもしれないですね。
日向翔陽
そこは、否定して?!
また、あなたは笑った。

笑ったら目が線になるんだなと思った。
歯が白いなあとも思った。





綺麗だなあと思った。

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