影山side
彼女はふふっと笑った。
笑ったら目が線になるんだな……と思った。
5分前
なんて言われて、
侑さんの言った通りに
「遅いんで送りますよ」って言ったら
「建物一緒ですけどね」と正論で返された。
変な奴にしつこく絡まれているかと思って
走ってきたのに……
ぐりんと彼女の方を向くと
驚くほどに顔が近くてドキッとした。
そしたら駅についてタイミングよく電車が来て
数分で最寄りの駅まで到着してしまった。
駅からアパートまでの約15分。
無言。
無言。
無言。
ただひたすらに無言。
よく見ると、実家の鍵をさしていた。
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がぱっと起き上がると部屋の中にいて
布団で寝ていた。
あなたさんが居た。
え?なんで?何してたん?
試合が終わり、
侑さんに言われて彼女を追いかけ、
電車に乗って……
帰ってきて…………?
思考がぐるぐる回っている。
ピト
あなたさんがおでこをくっつけていた。
なんか、ち、近い……
回っていた思考がパッと止まった。
あ、家に入る前に
睡魔と疲労に襲われて、立ったまま寝たのか。
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このタイミングで思い出すとか……
どんだけかよ。
でも、潤った薄紅色の唇が目の前にある。
綺麗だなあ。
キス……できなくもない。
いや、ちょっと待て。
誰ともキスなんかしたことないし。
そもそも女の人にそんなことしてはいけない。
第一付き合ってもないから!
でも、知ってみたい。
ドラマやら恋愛の映画みたいな
展開になったら、
彼女はどんな顔をするだろう。
例えば抱きついてみたら。
手を掴まえて俺の唇を重ねたら。
いっそ床に押し倒してみたら。
どんな顔をするだろう。
俺は、気付いた。
自分が変態かもしれないということ。
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あ、次回話に
18禁いれるつもりはありません。
ちょっと期待した人、すみません。
作者、18禁上手に書いたことないし、
書けない自信があるので。
体験もしたことないです。
彼氏もいないです。いたこともないです。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。