第18話

怖い17
1,915
2022/02/20 12:02
暫く歩いているうち、その人が「友人と住んでいる」と言うお家に来てしまっていた。あれ、この流れ…ヤバい気がする…。



しかし、今更何か言うのも怖くて。仕方なく私はこの人についてきてしまっていた。本当だったらとっくに家に帰っているはずだったのに。



周りを見回してなんとか気を紛らわしていると、その人はチャイムを押した。もしや、この人の友人の方に挨拶をしなくてはならないのでは…?



途端に手汗が止まらなくなった。ただでさえ日本に来てから今日で2日目で、ジョナサンさん達ともまともに話せていないのに、挨拶なんて出来るのかな…。
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
Τι πρέπει να κάνω…。どうしよう
そう呟いているうちに、友人の方が出てきてしまった。金髪で、家事でもしていたのかエプロンを身に付けた男の人だった。



その人は、私の横にいる人を見て「ああ、お帰り」と言った後、何かに気付いたかのように私の方をゆっくりと向いた。



な、何か挨拶しないと…と、取り敢えずここは無難に……
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
は、初めまして…。
初めまして……見慣れない顔だが、最近越してきたのかい?
いいや、違う。ギリシャからの留学生なんだそうだ。昨日から日本に来てるらしい
まだ来てから間もないじゃあないか、よくこんな所に連れてきたな
相手のやりとりの内容はなんとなく分かった。エプロンを身に付けた方が少し顔をしかめていたので、私が来ては都合が悪いのかもしれない。



なんだか申し訳なかったし、普通に緊張していたので、私は2人の前でペコリと礼をして、帰るために走った。



ーーー
……行ってしまった
いきなりこんな所に連れてこられたら怖くなるに決まってるだろう、バカなのか?……ディオ
ディオ·ブランドー
バカと言わなくても良いだろう吉良
吉良吉影
いいや、バカとしか言いようがないな。彼女にとってここは未知の場所なんだぞ
ディオ·ブランドー
未知の…………まずいぞ吉良
吉良吉影
何だ
ディオ·ブランドー
ここまで俺と一緒に歩いてきたが…多分アイツ道順覚えてないぞ……帰れるのか?ホストファミリーの家に
吉良吉影
……君には本当に呆れたよ
ーーー

私は今大変な状況に陥っている。迷子になってしまったのだ。



さっきの方とお話ししている際に緊張しすぎて、会話をするので精一杯だったから、道順なんて覚えられる筈がなかった。



困った。ジョナサンさん達に連絡する手段もない。昨日のうちに電話番号を交換するとかしておけば良かった。何をしていたんだ昨日の私は。



取り敢えず宛もなく適当に道を曲がったりしてみたが、それらしきお家は見つからない。私の心はみるみる恐怖に支配された。



もう空が茜色になってきていた。これ以上ここにいるようでは、あっという間に夜になってしまう。ジョナサンさん達に迷惑をかけてしまう。



誰かに道を聞けないだろうかと思ったが、閑静な住宅街だからそもそも通行人が見当たらない。それに、いざ見付かったとしても、日本語をちゃんと話せる自信が無くて怖い。



あまりにもどうしようもなくて、私は偶々見つけた誰もいない公園のベンチに腰かけて、独りで途方に暮れた。

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