第8話

怖い7
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2021/07/26 03:37
東方仗助
誰かいるんすか~?…って、あなたさん!?
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
えっ!!
なんと、私の呟きが聞こえてしまっていたらしい。ま、まだギリシャ語だからセーフだよね、内容分かってないし、セーフだよね!?



にしてもまさかここで人が来るなんて……いや、彼は悪くない。彼は全く悪くないんだけどごめんなさいちょっとビックリしてしまいました…()



慌ててドライヤーを戸棚にしまい、「あ、す、すみません!」と謝る。確実にヤバい奴だと思われたに違いない。だって誰もいない洗面所で独り言言ってたんだよ?絶対引かれたって…。
東方仗助
いや、謝らなくても良いんすよ!?
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
でも…。
東方仗助
誰だって独り言くらい言うもんっすよ!
そう笑顔で言った彼。確か何て言ったかな、じょう…たろうさんじゃなくて!それはもっと背の高いどこか怖そうな雰囲気の人だった。じゃあこの人は…?



と言うか名前すら聞いていなかった気がする。流石にホストファミリーの名前も知らないのは些か失礼ではなかろうか、と思ったので名前を聞くことにした。
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
…あの、そう言えばお名前って…。
東方仗助
あ!言うの忘れてたっす!…俺は東方仗助っす!
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
仗助さん…宜しくお願いします!
東方仗助
は、はい!
急にピシッと姿勢を正して、妙に畏まった返事をした仗助さん。私の前でそんな風にしなくても良いのに…やっぱり日本の人は礼儀正しいのかな。



取り敢えず邪魔になっているような気がしたのでそろりそろりと洗面所を出た。思えば、お風呂から出てそのまま髪の毛を乾かしたから結構喉が乾いた。



キッチンすぐそこだし、向こうから持ってきたコップに水道のお水でも入れて飲もうかな。冷蔵庫から少し氷を貰うことにしよう。



そう思ってキッチンに向かっていると、仗助さんも付いてきた。あれ、洗面所に用がある感じではなかった…?でも先ほど入る時に言っていたことを思い出すと、そんな気もする。
東方仗助
あ、喉乾いたんすか?俺がなんか入れるっすよ!
そう言って戸棚から適当なコップを取り出し、そこに氷を入れてお茶まで入れてくれた仗助さん。随分と気遣いのできる人であるようだ。



実は初めて見た時髪型がリーゼントだったから、「もしや不良なのではなかろうか」と不安に思っていたのだが、どうやらそこの心配は必要なさそうだ。やっぱり人は見た目だけで判断するものじゃないな。



お礼を言ってからコップを受け取ってお茶を飲んだ。体温がかなり上がっていたので、氷でキンキンに冷えたお茶はそれはもう染みるものがある。



お行儀の悪いことに、その場でごくごくと一気飲みしてしまった。どうしても喉が乾いていたので一気に飲んでしまったのだ。
東方仗助
もっと飲むっすか?
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
あ、大丈夫です、ありがとうございます…!
そう言うと、私からコップを受け取ってその場ですぐ洗い出した仗助さん……何してるの私は!ホストファミリーの方に自分が使ったコップ洗わせるなんて!



「私が洗いますよ!?」と言おうとした時にはもう洗い終えていた仗助さん。あ…時既に遅し…と申し訳ない気持ちになっていると、仗助さんが私を見て驚いていた。
東方仗助
な、何でそんな顔してるんすか!?
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
コップ、洗わせてしまって…。
東方仗助
全然良いんすよ!俺普段家のこと全然やれてねぇからこのくらい朝飯前っすよ!
きっと私と同じく学生の人だから忙しくて家事に手が回らないのだろうか。ならば尚更申し訳ない。次からはちゃんと私が洗うぞ…!

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