第11話

怖い10
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2021/12/18 08:26
あなたside

うっすらと意識が覚醒していく。事前に設定しておいたスマホの目覚ましが鳴っていた。むっくりと起き上がってそれを止めた。



時刻は6時半。ギリシャにいた時も毎朝この時間に起きて、朝食を作っていた。無難な部屋着に着替えて髪の毛をとかして、1階に下りた。



キッチンには特に誰もいなかった。まだ皆さんが寝ているのかもしれない。昨日は夕飯を作るお手伝いが出来なかったから、朝食は私が作ろう。



冷蔵庫の中身を見て、なんとなく作るものを決めた。お肉もあるし、野菜もあるから"これ"を作ろう…!!



じっくり時間をかけて、漸く完成させたそれはムサカと呼ばれるギリシャの代表的な料理だ。ギリシャ以外の国でも広く食べられている。



皆さんお気に召してくださるかな…と淡い期待を胸にテーブルに人数分並べた。冷める前に皆さんを起こすことにしよう。



そう階段を上ろうとした瞬間。下りてきた人とバッタリ遭遇してしまった。あ、危うくぶつかるところだった…!
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
あ、すみませ…
ジョナサン·ジョースター
…。
テーブルに並べられたムサカを見たジョナサンさんは目を見開いてその場に硬直していた。も、もしや…怒らせてしまった…!?



彼は驚いたような顔を崩さずにゆらゆらとテーブルに歩んでいった。くんくんとムサカの匂いを嗅ぐと、目をキラキラさせて「おおお…!!」と呟く。
ジョナサン·ジョースター
こ、これ、あなたが作ったのかい?
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
あ、はい…昨日夕飯のお手伝いを出来なかったから…。
ジョナサン·ジョースター
にしても凄すぎるよ!とっても良い匂いがするし、見たことの無い料理だから気になるなぁ!
椅子に座って「冷めないうちに頂いても良いかな?」と確認するジョナサンさん。「勿論」と頷くと、彼はスプーンを手にして食べ始めた。



一口頬張ったジョナサンさんは、凄く良い笑顔で「すごく美味しい!」と言ってくれた。良かった…料理はあんまり出来ないから嬉しい…!



私もそろそろ食べることにしようと席に着くと、ムサカの匂いを嗅ぎ付けた仗助さん達もワラワラとリビングにやって来た。
東方仗助
え!何だこれ!?
ジョルノ·ジョバァーナ
見たことない料理ですね…あなたさんの故郷の料理ですか?
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
はい!ムサカって言います!
ジョナサン·ジョースター
ムサカって言うんだ!今度作り方を教えて欲しいな
神月·ベレル·(なまえ)
神月·ベレル·あなた
勿論です!
その後は皆で美味しくムサカを食べた。皆さん気に入ってくださって、ジョセフさんには「また作ってくれよ~!」とまで言われたほどだ。



少し寡黙な印象の承太郎さんなんかは、「これは良い嫁になるな」と爆弾発言をした。嬉しいような、恥ずかしいような…?



それでも誉めてもらえて嬉しかった私は、他の4人が承太郎さんを鋭い目で見ていたことに気付かなかった。

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