@ 国木田独歩side
__理想とは何か 。
其の問いへの答えは無数に有る 。
“眼鏡無しの男”が何処か一点を見つめている 。
棚に置かれた湯呑みからは湯気がゆらゆらと昇っている 。
曰く言葉である 、
思想である 、
あらゆる意味の源泉である 。
だが俺に云わせれば 、
其の答えは明確だ 。
俺の手帳の表紙 、
そこに書かれた単語である 。
シャツを着た男が眼鏡をかける 。
卓上に置かれた手帳を手にする 。
其の手帳の表紙には 、
『 理想 』と毛筆で大書されている 。
其の手帳を懐に仕舞う 。
理想…… 、
此手帳には俺の全てが書き込まれている 。
予定 、計画 、目的 。
この手帳が俺の未来の全てだ 。
探偵社の事務所の前の扉で立ち止まり 、
腕時計を見る国木田 。
……十秒も早く着いてしまった 。
俺の名前は国木田独歩 … 。
現在を往く理想主義者にして 、
理想を追う現実主義者 。
腕時計の針がきっかり八時丁度を指す 。
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オフィスに入った国木田を縋るようにして見る敦 。
太宰は窓際の机の上に立っていた 。
しかも 、大仰の様な身振りで国木田に話しかける 。
…… 。
ハイになった太宰 。
大袈裟な身振りで空中を指すが 、
何も無い 。
国木田はあまりの太宰の変わりように敦に尋ねた 。
敦の手には如何にもヤバそうな 、
食べかけの茸 ( 緑色 ) と完全自殺読本 。
甲高い笑い声を上げながら太宰は暴れ回っていた 。
敦の胸ぐらを掴み 、揺さぶる太宰 。
国木田は最早ため息しか出なかった 。
青ざめた顔で
と叫んでしまった 。
太宰は国木田の頬を引っ張り、邪魔する 。
び た ﹣ん .ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ
太宰は床に叩きつけられてしまった 。
太宰 、気を失う 。
こ ん な に 相 性 悪 い 二 人 が 、
ど う し て コ ン ビ 組 ん で る ン だ ろ …… 。
敦は気を失い 、間抜け面をしている太宰を見ながら一人悩んだ 。
n e x t ⇒
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。