@ 有栖川あなたside
吸い込まれて来た空間は闇に堕ちた鏡の国 。
黒薔薇が咲き誇り 、何百 、何万と有る鏡が浮遊する場所 。
ピンとした髭 、真ん丸金色の瞳を持つ黒猫 。
宙に舞うトランプ 、チェス 。
ハリネズミやフラミンゴまで不思議な生き物達が居た 。
有栖はその中でも卵の形をした不思議な生き物に声を掛けた 。
鏡の枠に腰掛けるハンプティダンプティ 。
有栖を上から見下ろしながら応えた 。
目付きを鋭くして 、キッと芥川を睨む 。
は あ 、と有栖は溜息を着いた 。
芥川はと云うと 、ハンプティダンプティに見下されている事に機嫌を悪くしていた 。
ハンプティダンプティは時計を右手に 、パッと魔法の様に姿を消した 。
嗚呼 、不思議の国のアリスか 。
此処は頭の可笑しい連中しか居ない 。
秒針が半周した所で戻って来た 。
丸い木枠のボロボロの鏡を持って来た 。
その言葉を最後に 、有栖は鏡に身体を入れた 。
芥川も其れに次いで身体を通した 。
@ 中島敦side
…… 。
第二の被害者 、何てモノは無く 。
網に絡まった太宰が居たのだった 。
敦と刑事は呆れていた 。
逆さまの 、網に吊られた状態で 、太宰は問うた 。
太宰は美しい胸を撃たれたご婦人に近寄り嘆いた 。
両手を広げ悲しみを語る 。
そしてちゃっかりと本音を零す 。
敦は何時もの太宰に溜息をついた 。
刑事は頭を抱えて 、乱歩に尋ねた 。
太宰が投げかけると乱歩は困ったように言った 。
乱歩は顎を突き出し 、刑事の方へクイッとやった 。
太宰の視線は刑事に向いた 。
ふ ぅ ん 、何て言って乱歩は警官に向く 。
よ し 、と手を叩く乱歩 。
いつの間にかメガネをかけていた 。
無 理 難 題 。
案の定 、杉本は驚いた 。
首を振って否定している 。
え 、としか言わない杉本 。
あと五拾 。
敦は目を細めて見守っていた 。
n e x t ⇒
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。