第53話

✡ 最終話 ✡
277
2018/07/06 18:00
一ノ瀬彼方side

部屋につくとベットの上に
あなたはいなかった

彼)どこに、?

周りを見渡してみると
ベランダへの扉が開いていて
カーテンがふわりと風で揺れていた

彼)ベランダに、?

ベランダに近付くと
柵に手を置き空を見上げるあなたがいた

貴)遠い、な

そう呟いた彼女の横顔は
どこかに消えていってしまいそうなほど
悲しく儚かった

彼女が空に手を伸ばした

彼)ッッ、

ギュッ

その姿を見た俺は焦るように
そばに駆け寄ると
空に伸ばしたてを握り彼女を抱きしめていた

貴)一ノ瀬さん、?

彼)悪い、今はこうしててくれ. . .

今にも消えてしまいそうな
彼女を力いっぱい抱きしめていた

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
博麗あなたside

苦しいくらいに力いっぱい
抱き締める一ノ瀬さんは
いつもより弱々しくて
何かに怯えているようにも見えた

貴)一ノ瀬さん、少し苦しいです、

彼)ッッ、ごめん. . .

貴)いえ、大丈夫です
何かあったんですか?

彼)お前に伝えたい事がある

貴)伝えたい事、?

心当たりはある、
でも、それが悪い物だったらどうしよう
そんな事を考えていたでも

彼)好きだ

貴)ぇ、?

一ノ瀬さんからはなたれた言葉は
私がずっと待っていた言葉だった、

彼)きっと俺はあなたと出会った時から
ずっとお前が好きだった

彼)司が出てきた時、
不安でしょうがなかった
守れなかった時、死ぬほど後悔した

彼)好きなんだ、お前がいない
人生はもう考えらんねぇんだ
お前の事、俺に守らせてくれないか?

その言葉は、ずっと待っていた言葉. . .
少し震える一ノ瀬さんを
そっと抱きしめ

貴)私にも一ノ瀬さんの事、
守らせてください
私も貴方が好きです

伝わったかな、?
一ノ瀬さんは人一倍頑張れる人で
責任感も同じくらい強くて

だからこそ、隣で大好きなあなたを
守りたいんです。

ギュッ

彼)もう離さない. . .

貴)私も、離れません

ただ、一ノ瀬さんを、

ただ、あなたを、

守るって決めたから

・・・・・・・・・・

綺麗な星空の下
私は出会った時の事を思い出した
どん底にいた私をすくい上げてくれた
一ノ瀬さんは私に家族、仲間、人を愛する事
色んなことを教えてくれた

私の王子様は王子の服より
燕尾服が似合う
そんな執事さんでした

〜END〜

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