前の話
一覧へ
次の話

第2話

EPISODE:1
539
2020/01/19 05:23
あなた

やばいいいっ!
今日こそ電車に遅れるっ!泣

今日から私の音駒高校生活の2年目がスタートです

幼いときに見た春の高校バレー。全国大会。
音駒高校の『繋ぐ』という文字通りのプレースタイルに心が震えたのを今でも覚えている。


けれど。






去年。早く音駒のバレーが見たくてどうしようもなかった私は、新入生の部活動見学期間の前の週にこっそり除き見てしまった。



IH予選も意識し始める時期であるにも関わらず…



3年生は、練習には遅れてくる。雑事はすべて押し付ける。怒鳴り散らす。練習は真面目にしない。ストレッチもせず。準備体操すらない。異様に長い休憩。
姿を見せない監督・顧問。

ひとつ上の学年……。2年生であろう部員が理不尽に怒鳴られ、走らされ……




果たしてこれが私の思い描いていた音駒なのか。








呆れた。






その衝撃的な光景は私の期待を裏切り、入部を考え直させるには十分な理由だった。








あなた

(でも、今日からは2年生。去年1年生で、何もできなかった私じゃない!)



去年。あの光景を見てから覚悟を決めた。



今のままでは何もできない。
ただ音駒のバレーが好き。ただ好きなだけの私じゃ何にもならない…。

マネージャーだって知識がいる。
皆のサポートをするんだ。チームの誰よりもチームの皆を想ってなきゃいけない。



勉強しなきゃ。

マネージャーは何をする…?
ドリンクの作り方は?テーピングの仕方は?体調が悪いときはどこにそれが現れる?正しいストレッチの仕方は?細かいルールは?ポジションてなにがあるの?

まだまだ私にはやらないといけない事が山ほどある。




今じゃない。



今はまだ……。





…幼い頃見た。私が焦がれたあの光景を。

春の高校バレー全国大会で。

音駒のバレーを見たい!







その為に私は1年生の期間を、バレー部のサポートが出来るように、バレーの勉強へと費やした。




いろんな実業団の試合観戦や、高校生大会のビデオ鑑賞、ママさんバレーにも足を運びボール出しから球拾いまでひと通りやった。

ヒマがあれば本屋へ行き、怪我の応急手当・テーピング・熱中症や風邪の予防対策などの本を片っ端から読みあさった。




ひとりで続けるのは辛かった。


けれど、音駒のバレー部のことを想えば乗り越えられた。
応援してくれる幼馴染、友人がいてくれたから頑張れた。




あなた

(今日からは私も戦える…!)

あなた

でも新学期から遅刻はやばいって!!

プリ小説オーディオドラマ