今日から私の音駒高校生活の2年目がスタートです
幼いときに見た春の高校バレー。全国大会。
音駒高校の『繋ぐ』という文字通りのプレースタイルに心が震えたのを今でも覚えている。
けれど。
去年。早く音駒のバレーが見たくてどうしようもなかった私は、新入生の部活動見学期間の前の週にこっそり除き見てしまった。
IH予選も意識し始める時期であるにも関わらず…
3年生は、練習には遅れてくる。雑事はすべて押し付ける。怒鳴り散らす。練習は真面目にしない。ストレッチもせず。準備体操すらない。異様に長い休憩。
姿を見せない監督・顧問。
ひとつ上の学年……。2年生であろう部員が理不尽に怒鳴られ、走らされ……
果たしてこれが私の思い描いていた音駒なのか。
呆れた。
その衝撃的な光景は私の期待を裏切り、入部を考え直させるには十分な理由だった。
去年。あの光景を見てから覚悟を決めた。
今のままでは何もできない。
ただ音駒のバレーが好き。ただ好きなだけの私じゃ何にもならない…。
マネージャーだって知識がいる。
皆のサポートをするんだ。チームの誰よりもチームの皆を想ってなきゃいけない。
勉強しなきゃ。
マネージャーは何をする…?
ドリンクの作り方は?テーピングの仕方は?体調が悪いときはどこにそれが現れる?正しいストレッチの仕方は?細かいルールは?ポジションてなにがあるの?
まだまだ私にはやらないといけない事が山ほどある。
今じゃない。
今はまだ……。
…幼い頃見た。私が焦がれたあの光景を。
春の高校バレー全国大会で。
音駒のバレーを見たい!
その為に私は1年生の期間を、バレー部のサポートが出来るように、バレーの勉強へと費やした。
いろんな実業団の試合観戦や、高校生大会のビデオ鑑賞、ママさんバレーにも足を運びボール出しから球拾いまでひと通りやった。
ヒマがあれば本屋へ行き、怪我の応急手当・テーピング・熱中症や風邪の予防対策などの本を片っ端から読みあさった。
ひとりで続けるのは辛かった。
けれど、音駒のバレー部のことを想えば乗り越えられた。
応援してくれる幼馴染、友人がいてくれたから頑張れた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!