1週間後 .
〜 さとみ視点 〜
最近、ぼーっとして過ごすことが多い、
そもそも寿命が近いのもあって、
上手く身体が動かないし、動くと激痛が走る。
そこまでして、歩きたいとは思わなかった
こんな人生の残りを
どんな風に過ごせばいいのだろう、
俺ってこんなふうに過ごして、楽しいのだろうか?
残りの人生で、幸せになる事はできるのだろうか?
俺は生きてても意味あるのだろうか?
俺はジェルを幸せにできるのだろうか?
俺は、俺は、俺は…
もうこれ以上深く考えるのは辞めよう、
でないと俺の感情の中で、
何かが狂うような気がした。
夕方 .
放課後、ジェルがお見舞いに来てくれた。
痩せて、がりがりになった俺をみて
ジェルはどう思うのだろう、
できるだけ感情を
抑えているように、穏やかにいった。
あれ、なんでだろ。
ジェルなりの気遣いだと思うのに、
なんでこんなに腹が立つの?
といって、ジェルは生徒会で
あったであろう、話を始めた。
聞いてる ゛ふり ゛ をしているけれど、
正直何を言っているのかもよく分からない。
あれ、なんで?なんでこんなに腹が立つの?
俺の幸せはジェルが幸せになる事でしょ?
何でジェルが幸せ話をしてくれてるのに…、
何で腹が立つの?なんで、なんで…
なんで、なんで、なんで、なんで、
なんでこんなに腹が立って…
どうしようも居られなくなりそうなの…?
なんで、なんで、なんで、なんで…
あ、俺、わかっちゃった、
俺がこんなに腹が立つ理由。
でも、これを考えてしまうと…、
俺はジェルが大っ嫌いになる。
でも、でも、でも…
俺は…
俺はジェルが生きてる事に腹が立つ。
俺は今までこんなに苦しかったのに、
なんでジェルを助けてまで、寿命を縮めたの?
いままで、ジェルの為に全部全部我慢してたのに、
なんで、なんで、なんで…
…
はぁ、俺の幸せって最低なんだな。
俺にとっての幸せが…、
゛ジェルと一緒に×ぬことだなんて ゛
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!