第8話

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2020/07/24 04:25




















角名 side











母:りんー




角名:んー?




母:今度あなたちゃん此処に来るから









- 中学3年の冬

受験を終えてのんびりしていた俺に

母親はそう言ってきた

あなた____俺の従兄弟だ









角名:何?あなただけ?それとも皆で遊びに来るの?




母:違うわよ












- 昔から家族ぐるみで遊ぶことは多かった

でもあなたの姉____

" 凛々華 "がモデルを始めてから

それもぱったり無くなっていた
























母:あなたちゃん,ウチに住むことになったのよ




角名:………はぁ!???


















- 俺は思わず声を上げてしまった

突然のこと過ぎて驚きが隠せなかった









角名:どういう事?




母:どういう事ってそのままの意味よ。あなたちゃんアンタと同じ稲荷崎高校を受けて合格したから家を出て此処に住むことになったの












- そんな話____全然知らなかった











母:だからアンタの隣の空き部屋をあなたちゃんの部屋にするからちょっと掃除しといてちょうだい




角名:わ,わかった………










- 突然の報告に驚いたけど

あなたと久々に会えるのか

しかも同じ高校____同じ屋根の下











角名:やば………ニヤけそう











- 昔から姉ばかりが可愛がられていた水城家

でも俺はあなたの事しか見ていなかったし

俺の両親もそんなあなたを見て凄く可愛がっていた

だから俺たちはあなたが来ることを楽しみにしていた


































あなた:今日からお世話になります……!!












- 数年ぶりに再会した従兄弟のあなた

姉はモデルやってるし可愛いって言われてるけど

あなただって十分可愛い

寧ろ俺にとってはあなたの方が可愛かった












角名:いらっしゃい




あなた:りんくん!久しぶり…!













- 柔らかく微笑む笑顔

俺はあなたのこの顔が大好きだった













あなた:急にごめんね…?




角名:いいよ。会えるってわかって嬉しかったし




あなた:ほんと…!?











- " よかった "とあなたは微笑んだ

昔から自分は可愛がられてこなかったから

少し不安だったのだろう









母:ご飯出来たら呼ぶからお部屋の整理してきていいわよ!




あなた:ありがとうございます…!




角名:手伝うよ












- 『 ありがとう 』とあなたは微笑んだ

俺はあなたの荷物整理を手伝う為に部屋に行った


























あなた:りんくんかっこよくなったね!




角名:ほんと?そう言うあなたも可愛くなったね










- 『 またまた〜 』と笑うあなた

俺は本気で思った事を言っている

でもあなたはいつも本気と捉えてくれない

だって____いつも褒められるのは姉だから






















角名:これ中学ん時の写真?




あなた:そうそう!部活の引退試合の時の!




角名:そう言えばマネージャーだったんだよね




あなた:うん!りんくんは高校でもバレー続けるの?




角名:そのつもりで稲荷崎受けたよ











- 整理している時に見つけた中学の写真

俺の知らないあなたの顔

少しだけ____いや,かなり羨ましかった













角名:高校でもマネージャーやってよ




あなた:え?うーん……









- 『 ちょっと悩み中 』と眉を下げて微笑んだ

他にやりたい部活でもあるのだろうか____

































角名:そういえばさ




あなた:ん?

















- 荷物整理をしている途中

ふとあなたに問い掛ける


























角名:あなたは何で兵庫に引っ越してきたの?




































パリーン


































- あなたが手を滑らせて

飾ろうとしていたマグカップを落としてしまった


























あなた:あ,ご,ごめ……!!























- 慌てて割れたマグカップに手を伸ばすあなた

























角名:駄目
























- 俺はあなたの手首を掴んだ























角名:破片で指切ったらどうするの?




あなた:え……?




角名:こういう破片って意外と危ないんだよ












- 『 俺がやるからあなたは触らないで 』

そう言うとあなたは眉を下げた























あなた:りんくんは昔から優しいよね……























- そりゃあ" あなただから "だよ?























角名:あなた………何があったの____?



























- 俺はあなたを優しく抱き締めた

あなたは俺の胸の中で静かに泣き始めた

昔から人前で泣くような子ではなかった

そんなあなたが今____泣いている


































角名:話してくれるまで離さないから





























- 俺はあなたから全てを吐き出させた









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