『 行ってきます! 』
- 4月 あたし達は高校2年生になった
あなた:もう暖かいね!
角名:そうだね
あなた:は〜クラス替え緊張するなぁ……!
角名:俺はあなたと一緒のクラスがいいな
あなた:え!?
- 薄ら笑みを浮かべたりんくんがあたしを見る
角名:言っとくけど俺,諦めたつもりないからね?
あなた:え!?
角名:いつでも侑から奪い取る準備出来てるよ
あなた:り,りんくん……!?
- そう言ってりんくんが顔を近づける
角名:冗談。
あなた:え………?
角名:侑から奪い取ろうなんて思ってないよ
あなた:え?
角名:折角やっと幸せそうな姿見れてるのに俺が壊すわけにはいかないからね
- りんくんはそう優しく微笑んだ
角名:ただ諦めてないのは本当
あなた:え……?
角名:だから侑と喧嘩したりとか何か嫌な事されたってことがあったら言いなね
- " ま,侑に限ってそれは無いと思うけど "
りんくんはそう言ってくれた
りんくんが従兄弟で本当に良かったな____
治:お,あなた,角名
あなた:治くん!侑くん!おはよう!
治:はよ
侑:………
- 学校に着きクラス表を見ようと掲示板の前に行くと
先に来ていた宮兄弟に出迎えられた
角名:侑は何でふてくされてるの?
侑:……別にふてくされとらんし
治:アホ。100%以上不機嫌やないか
あなた:……?
- どうしたんだろう?
あたしが首を傾げていると
治くんに" 見てみ "と掲示板を指された
角名:あーなるほどね……
あなた:………!
- 2年1組にはあたしとりんくん,そして治くんの名前
隣の2年2組に侑くんと銀島くんの名前があった
角名:見事に離れたね
治:せやな
角名:だから侑は不機嫌なの?
治:不機嫌というかふてくされとるよな
角名:お子ちゃまかよ( 笑 )
侑:……ええよなお前らはあなたと同じクラスで
- 侑くんは不貞腐れたままそう言った
角名:別にまだ隣のクラスで良かったじゃん
侑:俺はあなたと同じクラスが良かったんや……
治:安心しぃクラスでは俺らが守ったるから
あなた:え……!?
- 治くんがサラッとすごい事を言いながら
あたしの頭をポンポン撫でた
侑:あなたに触んなや
治:そんなに怒んなや
侑:あなたに手ぇ出したら分かっとるやろな?
治:双子の彼女に手なんか出さんわ。ちっとは信用せやアホ
角名:でも____
双子:?
角名:俺は出しちゃうかも
- りんくんが意地悪くそう笑った
これは大体冗談を言ってる時の顔だ
でも____
侑:はぁ!?角名ふざけんなや!!
角名:でも違うクラスだから俺が手出してても分からないよね?ドンマイ
侑:ッ角名ぁ!!!!
- りんくんはそんな侑くんをスマホに収めて楽しんでいた
仁菜:朝からうっさいなぁ
あなた:!仁菜……!
仁菜:あなた,安心しぃ
あなた:え?
- 仁菜が2組のクラス表を指差す
仁菜:侑の事は私が監視しとくからなぁ!
あなた:え!?
- よくよく見ると2組に仁菜の名前があった
仁菜と侑くんは同じクラスなんだ____
侑:監視ってなんやねん!俺は浮気なんてせぇへん!
仁菜:分からんやろがアホ!!
侑:分かるわ!俺はあなたの事が世界で1番好きやしあなたの事しか見えとらんのやからな!!
あなた:ッ………!!!!
侑:………あ
- 大声で叫んでいた侑くんに
周りの人達が驚いていた
あたしが顔を真っ赤にしていると
侑くんはようやく我に返った
侑:す,すまん……
治:アホ
角名:アホー
侑:なッ……うっさいわ!ほんとの事なんやからしゃーないやろが
- 侑くんも顔を真っ赤にしながらそう言った
あなた:侑くん
侑:?
あなた:大好き……!
侑:ッ………!!!!
- " 俺もや "と侑くんに抱き締められた
クラスは離れてしまったけど不安は無い
あたし達の高2生活がスタートした____
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!