侑 side
- あれからあなたは角名と先生と病院に行った
俺の身体は丈夫やからあんなんで風邪はひかんかった
角名:おはようございます
銀島:お!角名おはよ!
角名:はよ
- 翌日の朝練に角名が来た
侑:なぁ
角名:ん?
侑:あなたは?
- あれからどうなったのか
気になって気になって仕方なかった
角名:あなたなら今日休みだよ
侑:え……
治:やっぱり酷かったんか?
角名:いや,大したことはないと思うよ。足は軽い捻挫だし熱も殆ど下がっててあなたは行く準備しようとしてたから
- 『 ただ病み上がりだから大事をとって休ませた 』
俺は角名の言葉に少し安心した
治:やって。良かったなぁ
侑:なッ……うっさいわ
角名:気にしてたの?
治:気にして眠れんかったみたいやで
侑:サム。勝手なこと言うなや
治:本当の事やろが
- サムの言うてる事は本当の事やった
俺は気になりすぎて全然眠れんかった
でも角名に聞くのもなんか変やし
かといってあなたの連絡先俺知らんし
聞く相手が何処にもおらんかった
角名:ていうかあなたのLINE知らないの?
侑:え?知らんけど……
治:あ,そうなん?やから連絡取れんかったんか
侑:え?サムは知っとるん?
治:おん。知っとるで
- サムだけやない
銀や先輩達も知っとるみたいやった
俺____完全に聞きそびれとるやん
角名:じゃあお疲れ
治:おん。お疲れ
銀島:あなたによろしゅうなぁ
- 午後練が終わって帰る時やった
侑:なぁ
角名:ん?
治:?ツムどうしたん?
侑:お見舞いに行ったらあかんの?
角名:え?
- 角名は驚いた顔をしとった
そりゃそうよな
俺が" お見舞いに行きたい "って言うてるんやから
角名:別に構わないよ
侑:ほんま?
治:なら俺も行くわ
銀島:あんまり大人数で行ってもあれやと思うし任せるわ
- 俺達は銀と別れて角名の家に向かった
途中サムが『 見舞い品買おうや 』って言うから
コンビニに立ち寄った
治:何がええかなぁ。やっぱり飯?
侑:サムそれ今自分が食べたいだけやろ
治:そんな事ないで?
- 明らかに自分が食べたいであろう物を
たくさん籠に入れていくサム
角名:あなたそんなに食べないよ
治:え?そうなん?
角名:うん。いつもお茶碗一杯のご飯も食べれるか食べられないかだからね
- やっぱり家でもあんまり食べとらんのや
やからあんなに細いんやな____
治:拒食症?
角名:では無いよ。昔から本当に食が細いだけ
- そう言いながら角名は何かを籠に入れた
侑:それ,角名が食うん?
角名:え?まさか。あなたにだよ
治:なんや?杏仁豆腐……?
- 籠に入れた物をサムが覗いた
角名:あなた,杏仁豆腐だけはご飯以上に食べれるから
治:え?そうなん?
角名:そ。だから熱あって食欲更に落ちてても杏仁豆腐は食べるかなって
- 当たり前やけど角名はあなたの事をよく知っとった
侑:角名はあなたの事よう知っとるんやな
角名:え?当たり前でしょ?だって____
『 昔からあなただけを見てきたからね 』
- 角名は笑いながらそう言いよった
なんや______胸が痛い
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。