侑:すまん……勝手な事言うて
あなた:う,ううん……
- あたし達はそのまま屋上にやってきた
途中自販で買ったいちごミルクを
侑くんは手渡してくれた
侑:……全部聞いてん
あなた:え………?
侑:あなたの過去が知りたくて……勝手に聞いたんよ
- りんくんは絶対に言わないだろうから
侑くんに伝えたのは……仁菜_____?
侑:俺から無理やり聞いたんや
あなた:え……?
侑:どうしても……あなたの事が知りたかったんや
- 侑くんは俯きながらそう言っていた
仁菜も簡単に言いそうなタイプでは無いから
きっと何か____あったんだと思った
あなた:あたしね……徹先輩の事が好きだった
侑:え……?
あなた:お姉ちゃん目当てで近付いてくる人を追っ払ってくれて……いつもあたしを守ってくれてた
- 言ってしまえば_____今のりんくんみたいな存在
あなた:徹先輩はちゃんとあたしの事を見てくれている。そう思ってたけど____違ったの
侑:え………
あなた:初めからお姉ちゃんが目当てだった。あたし絡みで仲良くなってたお姉ちゃんも徹先輩の事が好きになってたみたいで
- 『 いつの間にか付き合ってたんだ 』
付き合ってるって知った時,何も言えなかった
だって_____すごくお似合いだったから
あなた:両親も初恋の人も皆お姉ちゃんの事しか見てなくて,あたし生まれてきた意味あったのかな?って思ったの
- いっそ生まれて来なければ良かった
そう思った事だってあった
侑:んな訳ないやろがアホ
- 侑くんはそう言ってあたしを優しく抱き締めた
侑:あなたと出会えたから俺は前を向けたんや
あなた:え____?
- 前を向けた____?
侑:女共は俺の中身なんて見とらん癖に近寄って来よった。それが嫌で嫌で仕方なくて恋愛なんて出来んかった
あなた:え____?
侑:でもやっと_____俺の中身を見てくれる人に出会えたんや
- 『 俺に恋を教えてくれたんや 』
あたしはまた____胸が痛んだ
侑:いつも無理しよるけどそれでも笑おうとする。いつも人の事優先しよる優しい子に出会ったんや
あなた:そう……なんだ……
侑:でもそいつ鈍感過ぎて全然気付いてくれへんのや
- 『 こんなに近付こうとしとるのに気付いてくれへん 』
侑くんはあたしを抱き締める強さを強めた
侑:ほんまに向日葵みたいな笑顔に惹かれたんや
あなた:え_____?
侑:姉ちゃんがモデルだから何やねん。俺が思っとるのは一人しかおらへんのや
- それって____
侑:あなた
____好きやで。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。