- 10月
女子:ちょっと肌寒くなってきよったなぁ
女子:ほんまになぁ!
あなた:もう10月だもんね!
- 休み時間
あたしは移動教室の為友達と移動していた
侑:お,あなた移動教室なん?
あなた:うん!化学室に!
侑:そうなんや!寝るなよ?
銀島:お前やないんやから
侑:なんやて!?
- 侑くんと銀島くんはじゃれ合っていた
相変わらずだな____
あなた:クシュンッ
侑:!
女子:あなた大丈夫?
あなた:平気。少し寒いだけだから!
- 気温の変化から少し風邪を引いたのかもしれない
あたしはもう一度くしゃみをしてしまった
侑:寒いん?
あなた:え?う,うん。少しだけね
- あたしがそう答えると
侑くんは着ていたジャージを脱ぎ出した
侑:これ着とき
あなた:え!?だ,大丈夫だよ……!
侑:俺ら次体育やから邪魔やねん
- なら置いてくればよかったのでは?
そう思っていると侑くんがジャージを
あたしに羽織らせた
侑:お礼はちゅーでええからな!
あなた:え!?
侑:ほな,俺行くわ!
- そう言って侑くんは銀島くんと一緒に
グラウンドへ向かってしまった
女子:すごいね宮くん……
あなた:え?
女子:好きな子相手やとあんなに積極的なんやな
- あたしにとってはもう日常になっていたけど
やっぱり周りは驚いているようだった
女子:ま,宮くんの彼女もあなたやからええわって感じよな
あなた:え?
女子:わかる!お似合いやもん二人共!
あなた:そ,そんな事ないよ……!
女子:でもファンから特別嫌がらせとかされとらんのやろ?
- 侑くんにはたくさんのファンがいる
そんな彼と付き合っているから
多少の嫌がらせは覚悟していた
でも_____陰口くらいで嫌がらせは無かった
女子:それだけあなたには敵わないって思っとるんやない?
あなた:そんな……あたしは凛々華じゃないから一般人だよ?
女子:でも普通に可愛ええしほんまにええ子やん
- 『 宮くんが惚れる理由が分かるわ 』
そう友達に言われてあたしは照れてしまった
女子:あ,あれ宮くんやない?
あなた:!ほんとだ……!
- 化学室に着いて窓の外を見ると
グラウンドには2組の男子がいた
女子:あ,侑くん気付いたんやない?
女子:手振ってる!可愛ええな( 笑 )
- あたしに気付いた侑くんは
グラウンドから大きく手を振ってくれた
あたしは微笑みながら侑くんに手を振り返す
いつまでもこんな平和な日々が続く
そう思っていた
______この時までは。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!