班杯side
エナドリにさしたストローを噛みながら、タイピングをする。
伸びた前髪もぼさぼさの髪も気にする余裕なんてない。
まだ企画が通っていない、小鳥さんの手袋の予約ページができていて、思わずデスクを両手で叩く。
扉を閉めて、デジタル企画部の部屋に向かった。
上武の胸ぐらを掴み、背伸びをして二本指を目に近づける。
上武のパソコンをみると、ぴこんぴこんと予約が入ったという通知が来ていた。
上武の椅子を蹴りながら嘆く。
もう一度椅子を蹴飛ばしてからデジタル企画部の部屋を出た。
木角の言葉は無視して、喫煙所に向かう。
下を向いて廊下の壁沿いを歩いていると、誰かに声を掛けられる。
顔を上げて、にっこり笑う。
裏道さんと煙草を吸ったら、重い気持ちが少しは軽くなった気がした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。