私は顔を見れずに下を向いていた。
いきなり温もりに包まれた。
状況の整理がつかないまま、耳元で低い声が響いた。
自然と涙が一粒落ちて来た。
自分の口から出た言葉が信じられなかった。
迷ってたはずだったのに、気持ちが高ぶってしまっていたせいか無意識のうちに口が開いていた。
きつく抱きしめられていた手が解かれて、目の前で綺麗な姿勢の辞儀をされた。
カフェの席のど真ん中で告白されるなんて凄く恥ずかしかった。
でも、とてもとても最高の思い出になった。
けれど、少々後ろめたくもなった。
だって、トミーさんへの気持ちも整理しきれてなかったから…。
照れた口調で優しく頭を撫でられた。
幸せに浸った時だった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!