今日は、気持ちが乗らない、カフェからすぐに帰宅した。ある物を残して。
次の日は、後輩を連れてカフェへと行った。また、あの子が注文したものを渡してくれた。
こっそり、俺があの子のいない日に残していった置きメモの事を伝えてくれた。
やはり、あの子の笑顔を向けられると胸が跳ねる。どこかで気づいているこの感情が何か…、でも、まだ気付きたくないんだ…。
自分で言った友達という単語に驚いた。友達と言っていいのか、名前すら知らないのに。だからといってなんと言えばよかったのかわからなかった。知り合い、なのか、、、でも知り合いだとは思いたくなかった。
キイチと話していてもカウンターでお客さんに対応するあの子の事を見つめてしまっていた。
不意に言われたキイチの一言が俺の頭を駆け巡り何度もリピートされた。
『恋』
キイチの言っていることは全部当たっているように感じた。知り合いにも満たない、そうだ、知り合いにも達してないんだ俺たちの関係は…。
なんだか、寂しい気持ちが込み上げた。
あの子の事が、なんでもいいから知りたくなった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。