第3話

気づいてないふり
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2018/11/18 02:15
今日は、気持ちが乗らない、カフェからすぐに帰宅した。ある物を残して。

次の日は、後輩を連れてカフェへと行った。また、あの子が注文したものを渡してくれた。
カンタ
大丈夫ですか?
あなた

はい!おかげさまで!あの、置きメモありがとうこざいました

こっそり、俺があの子のいない日に残していった置きメモの事を伝えてくれた。
やはり、あの子の笑顔を向けられると胸が跳ねる。どこかで気づいているこの感情が何か…、でも、まだ気付きたくないんだ…。
キイチ
カンタさん知り合いですか?
カンタ
あー、うん友達
自分で言った友達という単語に驚いた。友達と言っていいのか、名前すら知らないのに。だからといってなんと言えばよかったのかわからなかった。知り合い、なのか、、、でも知り合いだとは思いたくなかった。
キイチ
いつも、どこにいってるのかと思ったらこんなとこにいたんすね、なんか意外です
カンタ
いや、オシャレすぎとかって思ってるだろ
キイチ
はい笑
カンタ
なんだよ、笑
キイチと話していてもカウンターでお客さんに対応するあの子の事を見つめてしまっていた。
キイチ
カンタさん、変っすね
カンタ
え?
キイチ
恋っすか?
カンタ
は!!?
不意に言われたキイチの一言が俺の頭を駆け巡り何度もリピートされた。
『恋』
キイチ
あの子の名前なんなんすか?何歳っすか?
カンタ
いや、何も知らない
キイチ
はい?なのに友達って知り合いにも満たないじゃないっすか笑
カンタ
うるせぇなぁー笑
キイチの言っていることは全部当たっているように感じた。知り合いにも満たない、そうだ、知り合いにも達してないんだ俺たちの関係は…。
キイチ
なのに、恋とか面白いっす
カンタ
恋なんてしてないよ、
キイチ
あ、そうでしたか、すいません
カンタ
ほんとだよおぉ!
なんだか、寂しい気持ちが込み上げた。

あの子の事が、なんでもいいから知りたくなった。

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