色んな感情を抱きながら結局来てしまった。
彼女の元へ…。
微笑み小さく手を振る姿はとても愛らしかった。けれど、昨日の2人の言葉がよぎる。
軽く頭を下げ、いつもと同じ物を受け取りいつもと同じ席へ着いた。
また、この声が間近で聞くことは予想していた。
家へ帰ると、決まってトミーは聞いて来る。
俺がこんなに外に出るようになったのもあなたちゃんのおかげだし皆んなとコミュニケーション取る事が驚くほど増えたのもあなたちゃんのおかげ、どうしたらいいのか…悩んでばっかな俺に多分あなたちゃんはすぐに飽きてしまうかもしれない、高校生だし…。
それでも、学校で好きな人とか、そりゃあ同年代の子に出来ると思うし、おっさんの相手してる暇なんて無いだろうし、俺自身動画とかで忙しくて付き合うとしても寂しくさせちゃうかもしれないし、あ、でもそもそも付き合うことになったとしても他に男作って、俺が…いやいやいや、まだあなたちゃんの事何も知らないくせにこんな妄想するのは良くない良くない…けど、どうしても考えちゃうんだ、だって…好きだから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。