ハル君から逃げるように
とにかく遠くへ走った
何してるんだろう、私
友香って人が彼女なのを認めたくなくて
認めたくなくて、、、?
それは、違う
私は誰であっても本当は認めたくないんだ
他の誰かがハル君の隣にいるのが嫌で
ハル君の彼女になるのを認めたくなくて
そこは私の場所なんだ、って
自分の気持ちを伝えたこともない臆病者で、
ハル君の彼女の悪口を言う卑怯者の私が
そんなこと思う資格もないのに。
私にとってハル君は、
誰よりも大好きで、大切な人。
だけどハル君にとって私は、、
この先も交わることのない、幼馴染。
ただの、幼馴染。
ーーーーーーポツ、ポツ
雨、、、
ーーーーーーザーーーー、
傘、持ってないや。
そういえば、、傘持っていきなさいって
朝、お母さんに言われたなぁ。
ハル君にも、、傘持ってきたか聞かれたなぁ
いつも優しいハル君。
ハル君、、、
ーーーーーーザーーーーー、
雨が一段と強くなってきた
なんでだろう、
今は、この雨がすごく心地良い。
涙と一緒になって流れていく
私の中の悪い物も流してくれる
そんな気がするんだ
お父さんもお母さんも、心配してるかなぁ
ハル君も、、、
でも今は、帰りたくないなぁ。
『………………え、』
え?
『…………何やってんの』
私「…………成瀬、君」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!