第30話

私の幼馴染
7,259
2018/01/30 16:54



私「でもそんな理由があったなんて知らなかったなぁ」



湊『別に話すほどのもんでもないし。』



私「教えてくれても良いのに〜!」



湊『……じゃあ、芽衣も話せよ』



私「え、わたし!?』



湊『うん。』



私「私の親は普通のサラリーマンと主婦だけど!」



湊『…いや、そうじゃなくて。笑』







成瀬君が苦笑いをして言い直した










湊『…なんで、泣いてたの?』





え?泣いてた?


誰が?わたしが??





私「え?泣いてないけど…たしかに翔先輩はちょっと
ウザかったけど…泣いてはないよ!?」




湊『…今日じゃなくて!(笑)‥‥前に会った時。』





前って、、、



!!!!!



友香先輩のことでハル君に怒られた時と



ハル君にフラれた時のこと、、、!?







私「……気になってたんだ?笑」



湊『…いや、いつも泣いてんなーって思ってただけ』



私「あー、、、あれはたまたまだよ…」



湊『……ふーん。』





そう言って成瀬君はテレビのチャンネルを回し、
バラエティ番組を見始めた。



たぶん、私が話したくないんだろう、と思って
気を利かせてくれたのかな。



本当に成瀬君は不思議な人。


だけど、


不器用ながらも優しい人。(意外とね)






私「…成瀬君と比べたら、くだらない話だけど…」





と言い、私は幼馴染のハル君の話をした。





昔からずっとハル君を好きだったこと。
ハル君に彼女が出来たこと。
しかも今度は綺麗系じゃなくて可愛い系の先輩。
そしてハル君にばっさりとフラれたこと。
でもハル君の彼女になることを諦めないこと。



成瀬君はただひたすら静かに聞いていた。







湊『……ふーん。』



私「ふーん、て!!もっと何か反応ないの!?笑」



湊『んー。くだらない話ではないんじゃない?』



私「え、、いやぁ、成瀬君と比べたら…」



湊『…人と比べる必要はないでしょ』




" 人と比べる必要はない "



今まで、ハル君の彼女と自分を比べてきた私にとって

これほど重い言葉はなかった。




湊『…幼馴染の話もそうだけどさ』



私「え?」



湊『上手く言えないけどさ、その幼馴染の彼女を意識するのは違う気がするけど…』



私「……でもハル君が好きになるのはいつも綺麗な人だから…自分も綺麗にならないと、いつまで経っても女としても見てくれない気がするし…」





湊『……芽衣が好きなのは誰なの?』







そんなの決まってる!!







" ハル君が好き "





……




あれ?



どうしてだろう、



なぜか私はこの言葉を発することが出来なかった。







湊『……芽衣は幼馴染の彼女っていうポジションに固執してんのかもな』





" 幼馴染の彼女に固執してる? "



それって、ハル君の彼女っていうポジションに
私がこだわってるってこと?








湊『……悪い、ちょっと深入りしすぎたな』



私「………」



湊『…………ま、頑張れよ。』



私「………うん。」










ーーーーーシャッ(カーテンを開ける音)






湊『…お、雨止んだ…』







降り続いた雨もようやく止んだようだ。




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