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第8話

第六感の導き
直感の誘う方向へとどんどん走って行く。…すると、
竈門 炭治郎
…!しのぶさんと富岡さんの匂いがします!
甘露寺 蜜璃
凄いわ遼君!何の手掛かりも無しに…!
時透 無一郎
本当に当たるんだね、遼の勘
獏良 遼
炭治郎の一言で心底安心しましたよ…
でも、気なんて抜けやしない。恐らくあの二人は今、鬼と交戦中だろうから。そこで何か致命傷でも負って無ければいいんだけど…。


木々が生えた道から漸く抜けそう…と、開けた場所が見えた時に、同時に目に入って耳に舞い込んできた。

異形の鬼に義勇さんがやられそうな所と、しのぶの悲痛な決死の呼び声を

俺はそれを聞いた瞬間、無意識に刀を抜き呼吸を使い、脚力を上げ三人よりも早く森を抜けた。そして、
獏良 遼
魄の呼吸   配魂 蝶舞乱閃はいこん ちょうぶこんせん
鬼に向かって複数の斬撃を放つ。しのぶの型を邪魔しない程度に、でも義勇さんへ伸びる腕は切り刻めるように。
時透 無一郎
霞の呼吸  陸の型 月の霞消かしょう
そして無一郎さんが霧を辺りに漂わせたかと思う程流れるように、そして鮮やかに大量魚を一瞬にして全て切り落としてみせた。

そうしたお陰か、しのぶの突きが脇腹に刺さった。だが、その鬼は自身が入っていた壺から別の壺へと瞬間移動した。…成程、これがあいつの異能か。

俺が空中から着地してすぐに、炭治郎が壺へと型を使った。
竈門 炭治郎
水の呼吸  壱の型 水面斬り!
見事に十個程あった壺が全て割れ、使い物にならなくなった。恐らく炭治郎は瞬時にあの壺がある限り移動されてしまうと判断したんだろう。
胡蝶 しのぶ
富岡さん、大丈夫ですか!?…返事をしてください!
しのぶが慌てて義勇さんの傍まで駆け寄る。その時にはもう膝ですらも体を支えきれなくなっており、その場に横に倒れていた。
甘露寺 蜜璃
え…?富岡さん、が?
それを見た蜜璃さんが驚愕で目を見開き、言葉が途切れる。無一郎さんは、そのしのぶの焦燥感が隠せない声に振り向くと言葉を失う程に驚き、そしてキッと鬼を睨みつけた。

でも俺はその前に、
獏良 遼
義勇!!
見た瞬間、俺は鬼に向かって刀を向けながらも思わず叫んでいた。

柱に対して失礼だとか、そんな事はもう考えてる余裕等無く、ひたすらに必死に名を呼びかける。
富岡 義勇
…っ、
獏良 遼
死ぬんじゃねえぞ!!
しのぶの光はもう二度と潰させやしない…!!あんたが簡単に死ぬなんて、俺が一番許さねぇからな!
胡蝶 しのぶ
遼…
獏良 遼
しのぶ、これ持ってきた。後はお前でやつてくれ。こっちは、俺らが片付ける
しのぶにある物を渡す。それは、しのぶがいつもその場で薬を調合する時に使う簡易道具が入った小さな箱だった。

これが俺がここへ来る前に、しのぶの研究室に入った理由だ。もしもの事があったら…という保険で持ってきていたが、まさか本当に使う場があるとは思っていなかった。
胡蝶 しのぶ
…痺れ毒や神経毒を使ってくるわ。針や魚は全て斬るか避けた方がいい。後、私の毒も効いてきてるはずよ。上弦だけど伍だから、毒を完全に解毒するのはあいつには難しいはず。
時透 無一郎
分かった
甘露寺 蜜璃
ありがとね、しのぶちゃん!
竈門 炭治郎
あとは任せて下さい…!
胡蝶 しのぶ
分かりました、お願いします…
しのぶが義勇さんの体を肩を使って支えながら戦線から下がる。

それを視界の範疇で分かった途端、四人であの異形の壺の鬼に向かって行った。



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しのぶside



富岡さんの体に刺さっていた数本の毒針を抜き、その場で調合した解毒薬を注射器で富岡さんに打ち込む。徐々に変な汗が引いていくのを見届け安堵しながら、皆の戦いに目を向ける。

遼が年上の名を呼び捨てするのも初めてだが、あんなに必死に人に死ぬなと叫んだのも初めてだ。

というか何故ここが分かって…
胡蝶 しのぶ
… まさか、例の勘とやらかしらね
時折、遼が凄く不思議に感じる。

伊之助君とも私とも違う独特の我流。伊之助君は自身の特徴を最大限に活かしたもの、そして私は自身の技術を最大限に注ぎ込んだもの。でも遼は違う。魄とは魂の事。それは自身の魂を剣術に落とし込んでいるとでも言うの?

それに、日光を長時間浴びているとすぐに日焼けしたように赤くなってしまうのに、怪我の治りは普通よりも早い…。そして、恐ろしい程に鋭い勘。

…遼が段々何者なのか分からなくなってきそう


そんな事をぼんやり考え込んでしまっていると、刀の金属音ではっと我に返る。

そして、ぱっと遼達が戦う場所へと顔を上げると

あの異形の鬼があの四人の総攻撃で斬られている姿が目に映る。皆、所々傷を負ってなお立ち向かい刃を振るう。

頸も壺も斬られて花散るが如く。…いや、そんなに綺麗なものではないですね。
獏良 遼
…のぶ、しのぶ!しっかりしろ!
話しかけられた事に気付かぬ程に、呆然としていた自分に自身でも驚くが、取り敢えず遼に応える。
胡蝶 しのぶ
…!え、ええ。大丈夫よ
甘露寺 蜜璃
えっと、取り敢えず富岡さんを!
時透 無一郎
早く蝶屋敷に運ぼう
甘露寺さんは焦っているが、時透さんは冷静に最適解を口に出す。
竈門 炭治郎
俺がおぶって…
獏良 遼
いや、俺がおぶってく。しのぶ、どのくらい作用する解毒薬作れた?
炭治郎君が気を利かせて言ってくれるも、遼がそれをきる。…あぁ、そういう事ね。
胡蝶 しのぶ
短時間の効力というより、兎に角、毒の巡りを遅延させて効き目を軽減させるものよ。だから、早いに越した事はないわ
獏良 遼
じゃあ、多少揺らしても大丈夫だな
恐らくどのくらい無茶していいのか計算したのだろう。人が運ぶという事は多少なりとも富岡さんの体を揺らす事になる。どのくらいまで揺らしてもいいのか、毒の巡りが早くなってしまわないか、と言う趣旨だったんでしょうね。

まぁ、元々全集中・常中は行っているのだからある程度回る速度というのは落ちていると言えど、あの上弦の鬼の毒の致死性の高さが不鮮明な今、あまり買いかぶるのは無謀だ。
竈門 炭治郎
す、凄い…
甘露寺 蜜璃
本当に、なんでこの強さと知識で柱にならないのかしらね
時透 無一郎
定員って事は分かってるけど、遼は一般隊士と一緒に出来る人材じゃないよ
遼の言う「面倒臭い」がどういう意味なのか分からない。人を統率するのも、的確な指示も柱に相応しい器のはずなのに。そんな事はないなんて謙遜の言葉では無く、ただ断り続ける理由は何…?
獏良 遼
皆さん大丈夫ですか?毒を喰らっていたりしたら、早めに言ってくださいね
富岡 義勇
…っ、…
遼が富岡さんを背負った状態で後ろにいる甘露寺さん達に声をかける。すると、富岡さんが少し苦しそうに表情を歪める。
胡蝶 しのぶ
兎に角、急ぎましょう
その姿に私が調合した解毒薬が本当に短時間の効力のものだと、改めて分かってしまう。

遼を急かし、皆で急いで蝶屋敷へと戻った。




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