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第7話

下劣で強力な鬼
しのぶside


今日は御館様に直々に頼まれた任務。遼にはざっくりとは話したけれど、他言無用と言われた為に守秘義務があると嘘を吐いた。

富岡さんとの共同任務は正直やりやすい所もある。この人との付き合いは案外長いし、実力はお互いに分かっているので、背を預けやすい。
胡蝶 しのぶ
では富岡さん、参りましょうか
富岡 義勇
… ああ
二人で伝えられた任務地へ向かう。

行くまでの口数は互いに少ないが、歪な空気感は漂わない。寧ろ、その静寂さえこの人とはいつも通りだ。

今回の任務は、上弦の鬼らしき者を見かけたとの情報、そして南東の森から一番近い別の村で変死体が多く見つかるとの情報から、その周辺に上弦の鬼がいるのでは無いかという確信に近い憶測が生まれたので急遽で悪いが確認してきてほしい。
…というものだった。

警戒心を一切緩めることなく向かっていく。



そして、日が沈みきった。
富岡 義勇
…なんだこれは
胡蝶 しのぶ
人の首…ですね
何故か開けた場所に不自然に置いてある壺の数々の上に人の首が乗っているという、不気味さの塊のようなものが出迎えた。

そして、その壺の一つが突如不自然に揺れだした。そこから異形の鬼が顔を出す。
玉壺
ふふ…またお客様がいらっしゃいましたね。ようこそ、我が芸術展へ!
…芸術展、この人の首の数々の事を言っているのでしょうか。だとしたら人の命を使う芸術等ありはしないでしょう。腹立しい事この上ないですね

でも、この人数の人を殺しているということは首だけが無い変死体はこの鬼が原因。それでいて、芸術展等と宣り余裕を見せるこの所業。そして「また」か。
…御館様の憶測は合っていたと思って間違い無いようですね。
玉壺
おや、貴方達は柱ではないですか。いやぁ〜殺されに…ゔぅん!倒しに来るとは光栄ですね
私達が何故柱だと知っている…?そして、それを分かってもなお煽ってくるということは、ただ自身の力を買いかぶっているそこら辺の哀れな鬼とは違うみたいですね。
…でも、こんな事をする鬼を放っておく訳が無いんですよ
富岡 義勇
水の呼吸  肆の型 打ち潮
富岡さんが先に攻撃を仕掛けて行く。
もう、本当に足並みを揃えるという事が出来ない人ですね。
玉壺
おぉっと、危ないですね〜
…!自分の生み出した壺へと体を瞬時に移動させた…!?
富岡 義勇
っ…!
あの鬼の能力と思われる壺で富岡さんの型を避ける。壺から壺への移動…あれは頸を落としただけで死ぬのかしら…?

それでも上弦の鬼だということに変わりはない…姉さんを殺した鬼と同じ、上弦…!
玉壺
血鬼術 水獄鉢!
そんな思考を巡らせていると壺の中から水の塊が襲って来る。ただの水の塊じゃない事は見なくても分かる。

血が昇っていたが軽々避けた…つもりだったが、避けた先にもそれがあり、予想以上の速度でそれが襲いかかって来た為、それまでは避けられなかった。だが、その前に酸素は取り込めた。
胡蝶 しのぶ
(…ただ突くだけじゃ全く破裂しないないわね)
分かってはいたが、耐久性が半端じゃない。だったら、残っている酸素で一気に方を付ける…!
胡蝶 しのぶ
(蟲の呼吸  蝶の舞 戯れ)
呼吸を使い思い切り突くと、案外呆気なく破裂した。(しのぶさんの突きの威力が桁外れなだけです。)
…この血鬼術は簡単に破れましたが、他は分からないので迂闊に喰らう訳にはいきませんね。
玉壺
おぉ!流石柱ですね。まぁ、そうでなくてはつまらない
胡蝶 しのぶ
あら、そうですか。それより、私に気を取られていて大丈夫なのですか?
一度刀を鞘に入れ、毒の加減を調節してからもう一度出す。上弦の鬼という事は、生半可な毒では効果は無いでしょうから、最高濃度の毒を打ち込まなければ。
玉壺
気を取られてなどいませんよ
胡蝶 しのぶ
あの人は本当に、寡黙ですから
そう言って睨み付けてから踏み込む。私は腕力は柱の中では劣ってますが、足は早い自信があるんですよ
富岡 義勇
(水の呼吸  陸の型 ねじれ渦)
富岡さんが捉えられていた水の中で型を発動する。恐らく私と一緒で、酸素を予め含んだ状態で中に入れたのでしょう。ねじれ渦で発生した斬撃があの鬼に向かっている。

富岡さんとの挟み撃ちが成功すればあるいは…!
玉壺
…! ほぅ、面白い。水獄鉢を意図も容易く破裂させるとは。でも、これはどうでしょうねぇ…!

血鬼術 千本針 魚殺
目の前の鬼が手から金魚のようなものを生み出す。…そして、その金魚は口に何かを溜め込むような動作をした為、咄嗟にその場で強く踏み込んで跳び上へと避けた。

下を見やると金魚の口から針が何千という数が発射されている。恐らく毒針でしょうね。

富岡さんもねじれ渦の斬撃で攻防出来ている。…ですが、やはりあの針の量ですから全ては躱しきれていない。何本かは受けてしまっていますが、富岡さんなら幾らかは耐えられるはず。


…富岡さんが一瞬でも気を引いている隙に、私がやってしまいましょう。
胡蝶 しのぶ
蟲の呼吸  蜻蛉の舞い 複眼六角せいれいのまい    ふくがんろっかく
上からの奇襲には咄嗟に反応出来ておらず、毒で濡らした刀が何度も掠るが、全て命中させる事は出来ずにほかの壺に逃げられてしまう。だが、突きの威力で壺は破壊出来た。
玉壺
しぶとい連中ですよ全く…!
段々と私達を倒せない怒りが顔に表れ始めた。これで油断の一つでも出来れば確実なんですがね。私の毒の効き目が掠っただけだった事で、巡りが遅いんでしょう。まだ効果が表に表れてない。

鬼の周辺に壺が十個程並ぶ。…また、何かの血鬼術でしょうか。
玉壺
貴方達でしたら最高傑作が作れそうです…!

血鬼術 一万滑空粘魚いちまんかっくうねんぎょ
また魚…しかも先程の針なんかよりも比べ物にならない数…!それに魚が何かを口から出している。霧のような、なんでしょうあれは…一先ずここは
胡蝶 しのぶ
富岡さん一旦下がって……富岡、さん?
普段なら私が言うよりも早く独断で動く彼が何故かそこを動かないと思いきや、その場に片膝を付く。
富岡 義勇
…っ!胡蝶…早く、下がれ…!
辛うじてといった感じで、此方を向いたかと思えば表情を歪め、脂汗を流して下がれなんて言う。
胡蝶 しのぶ
っ…まさか、毒…!?
でも何で…あの魚に直接的には当たっていないはずなのに。

…それがもし、皮膚からも吸い込んでしまう毒なら?あの魚が発している霧が、そうだとしたら…!


最悪の答えを導き出してしまった。あのままじゃ富岡さんが危ない。あの上弦の鬼が迫ってる!
玉壺
ふふふっ…!
あいつが言った最高傑作になんてならせやしない。悪趣味を通り越して下劣極まりないものを作品などと戯けるこいつは、その口先だけじゃない程に厄介。

着地点が富岡さんから少し離れた場所だったから、毒だと気付くまで時間がかかった。それに小さく数が多い魚も空中から迫ってきている。あの毒霧を更に多く浴びてしまったらかなり危険。
胡蝶 しのぶ
富岡さんっ!!
嫌だ…嫌だ!私は貴方までも目の前で失いたくなんかない…!!私のもう一つの光を!

瞬時に全集中の呼吸を使い、私の突きの威力を最大限に高めた一点集中の型を繰り出した。
胡蝶 しのぶ
(蟲の呼吸   蜂牙の舞 真靡きほうがのまい    まなびき…!)
だが、私の突きが鬼の頭を貫くよりも鬼が富岡さんに辿り着いてしまう方が早い。

まずい…間に合わないっ…!!


義勇さん!!









































獏良 遼
魄の呼吸  配魂 蝶舞混閃!
玉壺
何っ…!?
胡蝶 しのぶ
え…?
目の前の鬼へ向かって上空から、威力の高い斬撃が何度も降り注ぐ。その光景に型の最中だったにも関わらず、見入ってしまう。
その斬撃のお陰で私の毒が確実に鬼の体内へと注入されたが…







何故貴方が、遼がここに…!?
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