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第10話

甘味処
今日は珍しく善逸単独任務で、それを見事に(というか当たり前に)成功させて怪我も軽傷で帰ってきたので、褒美に蝶屋敷の近くの甘味処へと二人で足を運んでいた。

善逸は甘い物が好きだと聞いていたので、何も言わずに着いてきてと言って正解だった。甘味処に着いた瞬間のパァァって効果音付きそうな程の笑顔の輝かしさは凄く微笑ましかった。

夜の暗さを思い出すからと、外の腰掛けられる所に座る。怖がりの善逸の事だから、今回もまた気絶してしまったんだろう。…いや、気絶して正解なんだけどな。

日除けに傘を持ってきて良かった。座った状態でも和傘を差したままの俺にきょとんとした顔で善逸が尋ねてくる。
我妻 善逸
ねぇ、なんで遼は日傘差してんの?
獏良 遼
俺はこう見えて肌が弱いんだよ。だから陽の光に当たると当たったとこがすぐ赤くなっちまうから、こうやって外に出る時は傘差してんの
我妻 善逸
へぇ…って、じゃあ外じゃなくて中行こうよ!
獏良 遼
今日は善逸の激励の為に来たんだ。お前に合わせなくてどうすんだよ
俺の言葉に何も言えなくなってしまったのか、納得出来ないといった少し拗ねた表情で頼んだ団子が来るまで足を手持ち無沙汰にぶらぶらと揺らしている。
我妻 善逸
なんか面白い話してよ
獏良 遼
えぇ…んな急に言われてもな…あっ
我妻 善逸
…何?もしかしてあるの?
…何故お前が驚く善逸。お前さては、全然浮かばなくて適当な作り話で滑り倒す俺を見たかったのか?ふふっ、甘いぜ
獏良 遼
ふっふっふっ、とっておきのがな!
我妻 善逸
え、何何!
獏良 遼
御館様に褒められた時の小芭内さんと実弥さんの反n((ごフッ!
興味津々な善逸に向かって得意気な顔で言おうとしたその時、前方から傘の中の俺の頭にまで届く拳とかなり痛いデコピンが飛んできた
不死川 実弥
てめぇ…今何吹き込もうとしたァ?
俺が頭を押さえつつ顔を上げると、目の前には恐らく任務帰りであろう実弥さんと小芭内さんが居た。これはこれは…どうりで鉄拳と痛いデコピンが飛んでくる訳だわ…。
伊黒 小芭内
十中八九俺達を小馬鹿にする内容だったろう。だからお前は…
我妻 善逸
(ひぃぃぃいいい!何かやべぇ音が聞こえて来ると思ったの気の所為で流さなきゃ良かったぁああ!)
隣の善逸は何を思っているかは知らんが、取り敢えず怯えているような表情をしていた。だが俺は、これが平常運転である為に普通に返答した。
獏良 遼
痛いですね…何してくれるんですか
不死川 実弥
こっちの台詞だ馬鹿野郎ォ…!
伊黒 小芭内
お前の所為で一瞬で殺意が沸いただろうが。どうにかしろ
獏良 遼
知らないですよ。というか、お二人の合同任務という事は十二鬼月か大量の鬼ですよね。お疲れ様です。
…それで?怪我は隠してませんよね?
師範としのぶ譲りのあの笑顔を向けると、二人が固まった。…あ、これやったな?あんたら絶対やったな?
不死川 実弥
伊黒 小芭内
我妻 善逸
(えぇええ!一瞬にして形勢逆転したかと思えば黙り込んだんだけどこの二人。絶対ちらって目ぇ合わせたの逃れる為だよね!?分かりやすくない!?)
俺は善逸が声も出せずに一人百面相している事に目もくれず、二人をまじまじと観察する。
…二人の怪我は、
獏良 遼
……実弥さんは腕の裏側に切り傷二つ、反対の腕にも一つ。肋骨一本ヒビ入ってますね?
……小芭内さんは右腕に打撲。左脇腹に切り傷かな。どちらにしろ血が滲んでますね?
二人共俺が指摘した部分を咄嗟に手で確認した。小芭内さんの方は左脇腹に手を触れた時ほんの一瞬顔を顰めたので間違い無い。実弥さんは言わずもがなだ
我妻 善逸
え…なんで分かるの怖っ!
俺や善逸の真正面からじゃ見えにくい位置、もしくは完全に見えない位置だ。…まぁ、なんだその、勘みたいなもんと俺の経験上の総計だ。
獏良 遼
それはな…俺も怪我隠してしのぶ達に散々怒られたんだよ。それで傷を隠してんのも、傷の隠し方も覚えた。ね?お二人共?
いやぁ…本気で怖いからな、あの姉妹に隠してた怪我がバレた時。あの笑顔の裏側が完全に修羅と化すから。
不死川 実弥
こんなもん大した怪我じゃねえんだよォ!
伊黒 小芭内
このくらいでへばっては柱として面目が立たん
獏良 遼
はいはい、軽傷だろうがなんだろうが怪我は怪我ですから。それに柱だろうが傷付きます。その怪我一つで一人でも多くの命をその手から零したらどうするんですか。
…という訳で、蝶屋敷まで案内する必要はないですよね?
こう見えて一番知性的に戦う実弥さんと、どんな場合でも冷静さを欠かさない小芭内さんは、柱相応に人の命を重んじている。俺がそれっぽい言葉をかければあっさりと陥落するのが目に見えていた。
不死川 実弥
………お前が嫌がる程俺との合同任務やってやるからなァ
伊黒 小芭内
……今度の柱稽古覚えておけよ、遼
鈍く俺を睨み付け、面倒臭そうな雰囲気を隠すこと無く曝け出す二人は、渋々蝶屋敷の方面へと足を向けた。
…そして、しのぶに珍しがられるのだろう。
我妻 善逸
遼、強い…
獏良 遼
しのぶには負ける
我妻 善逸
それは否定しないけどさぁ
あまり気乗りしない足取りで蝶屋敷の方向へと足を進めて行った二人の遠くなった背を安堵しながら見ていた善逸が俺に問いを投げかける。
我妻 善逸
にしても何であの風柱の人は合同任務を脅しに出したの?音的に本気だったよ?
獏良 遼
あぁ…それはな。俺、あの人との合同任務今まで殆ど全部断ってんだよ
我妻 善逸
えぇえ!何で!?暴力的だけどめっちゃ頼もしいじゃん!柱だよ!?
…まぁ、普通その反応だよな。以前しのぶにも話した事はあるが、今の善逸程では無いにしろ抱かれた感情は同じようなものだった。
獏良 遼
だけど何て言うか…あの人太刀筋が乱暴で感情的過ぎて見てて不安になってくるんだよな。何となく。こっちが見てて体力消耗するから嫌。
我妻 善逸
それただの遼の私情じゃん…
獏良 遼
おう
我妻 善逸
当たり前のように言わないでよ!
…そういう事にしておこう。



その後、きっちり善逸に御館様に褒められた時の二人の反応を話してやった。
我妻 善逸
…ねぇ、遼
獏良 遼
ん?何だ?
我妻 善逸
……やっぱ、何でもない
獏良 遼
そうか。じゃあ、帰るとするか!
我妻 善逸
うん…
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