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第12話

真の姿
俺は頭から血を流していたのを呼吸と超再生で治し、機能しなくなる寸前だった足や腕の骨も普通よりは時間がかかるがゆっくりと機能する程度には治す。

大きい怪我が全て治るのと立ち上がり、もう一度殺意の目を向け立ち上がったのが同時だった。
猗窩座
なんだどうした、まさかもう死に損ないだなんて言わないよな?
そう言って猗窩座は足元のすぐ近くに居た隊士の首を踏み付け、潰した。

俺はそれを見た途端、我慢出来なかった。
獏良 遼
…やめろ
俺の中にあるもう片方の遺伝子を血を、呼吸で増幅させろ。今まで抑え込んできた全てを曝け出せ。

全身に巡り行く俺の中の“鬼の血”を、体の外へと促す。すると鬼の角が一本額から現れ、八重歯が発達し、目の瞳孔が開く。きっと今俺の左目の強膜は黒く染まっているのだろう。

そして最後に手を刀で薄く切り血を俺の持つ刀へと流すと、薄桃色だった柄に近い部分は朱殷に染まり、剣先へかけて徐々に色を薄く変えていった。(朱殷→薄赤)その刀を持ち直し、呼吸と上がった身体能力で猗窩座に一瞬にして近付く。
猗窩座
あ?
獏良 遼
やめろっつってんだよ



‘’血鬼術” 残魂 翅乱華ざんこん しらんげ
猗窩座の間合いに入る事もその速度自体も先程とは桁違い。唐突に身体能力が向上した事と、血鬼術という言葉に一瞬怯んだ隙に、今までよりも遥かに速い太刀筋で刀を振り、薄く猗窩座の体や腕に切り傷を入れる。
猗窩座
っ…がはア゙っ…!
その程度すぐに回復すると思い込んでいた猗窩座が、その傷を付けられて尚超再生しないと戸惑った途端に、突如衝撃が猗窩座の体を襲い木に打ち付けられる。

それは緩急を物凄い速度で付ける事によって、目に見えないどころか痛覚さえ置き去りにする。人間の状態でも勿論繰り出せる型だが、鬼化状態だと更に威力も速度も上がる。

この刀も、もう先程までの刀じゃない。見せてやるよ、この『月輪刀』の真髄をお前にたっぷりと。
猗窩座
…プッ、お前その刀、月輪刀だろ。まさかお前が持っていたとはな…それはあの御方、或いは黒死牟が持つべき物のはずだ。
俺の斬撃で口内まで切れたのであろう猗窩座が、溜まった血を吐き出した後、俺の持つ刀の事を話し始めた。

黒死牟…猗窩座が名を出す、そして持つべき物と言っているという事は実力は猗窩座よりも上…って事は、上弦の弐か壱の鬼か。
獏良 遼
はっ、誰が渡すか。欲しかったら俺を殺せ
実弥さんがよくやるように、刀を肩に置きながら挑発する。

…この刀を鬼になんざやってたまるか。しかも無惨の直属の部下である上弦の元にだなんて、絶対に渡すものか。渡すくらいだったら自分で壊してやる。
猗窩座
お前、面白くなってきたな…!

破壊殺 砕式 万葉閃柳
猗窩座は俺の上空へと跳び、拳を握り締め俺の元へと迫って来る。
獏良 遼
(これは避けなきゃまずいな)
真っ向から受けたら月輪刀が折れる。そう確信した俺は、一瞬で酸素を肺から体全体へと送り込み瞬発的に足速にしてその場から影も残さず避ける。

すると、俺が避けた後一秒も経たず先程まで居た場所の地面が抉れる程の拳が叩き込まれる。

それを見ながら、跳んで避けた足を地面に着地させると
獏良 遼
血鬼術 夢魂 華胥壊乱むこん かしょかいらん
すぐにまた猗窩座の元へと跳び、型を繰り出す。まだ治りきっていない先程の傷跡を見るに、これが当たれば猗窩座にとってかなり不利になるだろう。この時、義勇さんのような変則的な足運びが出来れば良かったのだろうが、如何せんそんな技術を会得出来ていないもので。

そう予測建て、刀を振るった。……だが、
猗窩座
破壊殺  脚式 飛遊星千輪
首から上…主に目元を狙い刀を横へと振った筈だったのだがそれよりも早く猗窩座が足を上へと振り上げた。
瞬時にこれをまともに喰らってはいけないと分かり、空中で咄嗟に身を捻ったがそれでもその衝撃波から逃れるにはあまりに近付き過ぎていたようで、蹴られたと呼ぶにはあまりに深い切り傷と共に後方へと飛ばされる
獏良 遼
スゥ…っぐ…ごはっ…はぁ…っ!
その痛みと背中に木を思い切り打ち付けた衝撃で、一瞬息が詰まる。このままでは駄目だと思い何とか無理やり息を吐き出すも、それは吐血だった。

血と息を吐き出すと、背中に走った衝撃が未だ鈍く健在するのに見て見ぬふりをしながら、立ち上がる。今の状態の俺なら、後数分もすれば治るだろう。鞭打ちなんて今は怪我の範疇じゃない。

問題は腹の深い切り傷と猗窩座をどう倒すかだ。俺の中の鬼の血は半分、だから鬼の効果も半減する。だから上弦の回復速度になんてどう足掻いたって追い付け無いし、この状態でも人間と同じく限界に達すれば死に至る。
それに、呼吸を一瞬で使ってもこの怪我だ。流石に上弦の参となれば侮った瞬間に此方が殺されるだろう。

でも、此方にはこの刀と完全に人間の状態よりも遥かに上がった身体能力。そして呼吸と血鬼術を合わせたものを技として、型として出す事が出来る。

…そしたらもう、超近距離戦で片をつけるしか無い。

俺の持つ型の中で近距離じゃ最も強いと呼べる型の出番だ。だが、かなりの出血と骨へのヒビ、至る所にある大小の切り傷まであれば幾ら人間の時よりも怪我が治りやすくともそれを越える頻度で傷を負わせられてはたまったものじゃない。
あーあ、無一郎さんに言ったら効率悪いって怒られそうだな。
でも、そうも言ってられなくなってきた。
だったら、それまでに隙を作る必要がある。より確実にその体から頸を穿つ事が出来るように。

その為には先ず動揺を誘う。この状態でも変わらぬ速度で走り、変わらぬ強さで型を繰り出す。そうすれば、戦闘狂の猗窩座は絶対に楽しそうに距離を詰めてくる。今まで斬撃や突きで無理にでも距離を取ろうとしていた俺…少なくとも無意識の中に先入観は塗り込めたはず。

その認識を自らぶっ壊す!傍から見たら自殺行為と思えるそれを、一か八かで!
猗窩座
どうした?まさか終わりじゃないだろう?折角、熱くなってきたんだ…こんな所で終いなんてある訳ないよな…!
まだ治らぬ腹の深い傷から血が滴り落ちる。内臓まで届いていないのが不幸中の幸いと言った所か。普通の鬼なら飢餓状態になってもおかしくない出血量の俺に、表情を何ら変えることなく煽ってくる。
獏良 遼
っは、そんな戯言言ってられんのも今の内だ…!
口から吐き出した時に付いた口元の血痕を手の甲で拭うと同時に、刀を片手で構えながら睨み付け威嚇する。行冥さんの稽古で鍛えた腕力を呼吸で最大限に引き出す…!そうすれば、斬撃は先程よりも強固になるはず!
猗窩座
…ほう、やはりお前は面白い!是が非でも鬼にしたくなってきた…!
それが大層猗窩座の機嫌を不快ながらに取ったようで、相手も構えを取って口から喜色の乗った声色で言葉を紡ぐ。
獏良 遼
なってたまるか糞野郎!!

血鬼術 配魂 蝶舞混閃!はいこん ちょうぶこんせん
それが癪に触る俺は、その場から高く跳び型を繰り出した。空中から猗窩座に向かって、一寸の狂い無く斬撃が飛んでいく。今の俺の斬撃なら蜜璃さんに匹敵してもおかしくない。そして恐らく猗窩座はそれを相殺するという道を選ぶだろう。

それを見越して…!
猗窩座
破壊殺  脚式 流星群光
案の定、向かってくる半透明の斬撃を複数の蹴りで相殺した。中段から上段への連続蹴りで。…やはり簡単にはいかないか。あのまま空中に居てしまえば、自身の斬撃が跳ね返った事による怪我は免れなかっただろうが、今は違う。

全集中の呼吸を目一杯しながら、天元さんに習った忍び足の歩法で猗窩座に迫り行っている。攻撃し返した反動の衝撃で、猗窩座の周囲には硝煙が立ち込めている。

それに迷う事無く突っ込んで行く。そして、そのすぐ近くに猗窩座は居るはず…!
獏良 遼
(血鬼術  珠魂 紅抉り!)
視界で捉えた猗窩座の胸元を穿つ。貫いたその勢いで腹に風穴が空く。そして埋めた刀を柄本まで押し込んで体内で回し、そのまま頸まで抉り取るように振り上げる。近距離だったら確実な致命傷と最高で頸を捥ぎ取る事が出来る…!
猗窩座
ぅがっ…!あがっ!!ごぽっ…
月輪刀の再生妨害も相俟って、猗窩座は自分が思うよりも大きい痛手を負っている。その苦しみの喘ぎに、これはいける…と、楽観視した俺は思考が狭まっている事に気付かなかった。
猗窩座
…なんて、簡単に行くと思ったか?

は…?




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