次の日。
案の定、私が鳳さんに詰め寄ったことが知れ渡っていた。
私が教室に入るとクラスのみんなはヒソヒソと話す。
『やっぱりいろはは、あんな子なんだね。』
『関わりたくないねぇ。私まで疑われそう。』
『私、あの子嫌いなんだよね。』
『私も〜!』
『やっぱり、菫の言うとおりだね〜』
すべて聞こえてるのに。
たちが悪い。
これで委員長なのがとても腹立たしい。
まぁ、でも。
愛那ちゃんがどう動くのかな
ほら、来たよ。
愛那ちゃんが。
ガラッ
愛那は、サッと自分の席につく。
いつもと様子がおかしいことは鳳さんにだってわかるだろう。
きっと愛那ちゃんは今、鳳さんのすべてを疑っているだろう。
挨拶の笑顔も嘘。
心配する仕草も嘘。
さぁどうなるんだろう。
鳳さんの瞳の光が一段暗くなったように見えた。
多分もう、鳳さんのグループに愛那ちゃんが戻れることはないだろう。
愛那ちゃんは私の方に近づいてきた。
このときはまだその屋上が大波乱の場になることを知らなかった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!