スマホの着信音で目が覚め、画面を見てみるとチャニョルからだった。
一瞬で朝が来た…まだまだ寝足りないのに。スマホを手に取って通話ボタンをスライドすると、朝から疲れるほど元気な声が聞こえてくる。
モーニングコールとか頼んでないし。
チャニョルはだいたいこうやって起こしてくる。私が休みの日も勝手に出かけるぞーとか言って家に来るし。
まぁそのおかげで朝ちゃんと起きられてるんだけど。二度寝しようと思ったけど私は体を起こしてそのままぼーっと窓の外を見た。今日はやけに天気が良くてなんか清々しくなる。
ベッドの横にすぐ水道があるからそこに手を伸ばしてそのまま歯を磨く。
たまには1人で屋上にでも行ってみようかな。
いつもチャニョルに連れてこられてたし。
昨日交換した連絡先。いざとなると連絡しようか迷う。昨日寝るの遅かったし、ギョンス先生はまだ寝てるかな。
▪起きてる?▪
起きてないだろうと思いながらメールを送ってそのまま画面を開いておいたら、2,3分後に既読がつく。
え、起きてた。やっぱり医者だからちゃんと起きてるんだな。
*起きてるよ。どうかした?*
起きてると思わなかったから何故か焦る。
▪あ、よかったらお散歩でもしませんか?🌸▪
慣れない絵文字なんか使って…なんかバカみたい。
*いいねお散歩。じゃあ今そっち行くね*
今から来るなんてまだ起きてから数分しかたってないのに。何も準備してない。チャニョルならまだしも、ギョンス先生とかこんな姿見られたくない。
急いでスマホの画面を確認しながら適当に髪の毛を直す。…これならまだマシだよね。
そう答えると、開かれる扉。
ギョンス先生は昨日とは違って眼鏡をかけていた。
私に言われるとすっとメガネをとってニコッと笑う。
適当にセットした髪の毛なのに似合ってるなんてお世辞がすぎる。いつもチャニョルとか△△に馬鹿にされるのに。調子が狂う。
またギョンス先生にひょいっと持ち上げられて車椅子に座らせられる。できるだけ力を抜いてそれを受け入れたけど、やっぱ慣れない。慣れるわけない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!