第6話

いい人
507
2018/04/17 18:03
病院でぐだぐだ過ごしてるあいだに、もうすっかり外も暗くなってきた。チャニョルは明日学校だし、課題もまだ終わってないだろうし。ちゃんと帰らせないと。
大丈夫だって心配ないって説得しても帰らない時があるから。私が寝るまでずっと横にいるし、なんなら朝起きたらベッドの横で座って寝てる時だってあった。チャニョルもそれは辛いだろうし無理させたくない。
○○
チャニョル、もうそろそろ帰りなよ
チャニョル
チャニョル
え?今日泊まるし
○○
いや大丈夫だよ。看護師さんに一言言わなきゃ泊まれないでしょ
チャニョル
チャニョル
なら言いに行くよ?
立ち上がって本当に言いに行こうとするチャニョルを、私は袖を掴んで引き止める。
○○
ちょっと、チャニョル!
チャニョル
チャニョル
なに、
○○
ここ最近ずっと病院に寝泊まりしてるじゃん。私平気だし、ちゃんと看護師さんもいるから。そんな無理ばっかりしないでチャニョルはちゃんと自分のことやりなよ。私のせいで成績落としちゃったら嫌だよ
チャニョル
チャニョル
でも…
○○
チャニョルお願い。ちゃんと自分の家で休んで課題もしっかりやって。私は平気だから、ね?
そう言うと、チャニョルは仕方ないな…と納得のいかない顔で頷いた。荷物をまとめて準備をすると、私の頭をポンッと撫でて笑う。
チャニョル
チャニョル
1人で無理しようとするなよ?なんかあったら連絡して。いや、なくても連絡して!夜更かししたらだめだから!ちゃんと寝るんだよ?
○○
分かったから〜。
チャニョル
チャニョル
あと、あの新しい担当医には気をつけろ!相手は男だよ
○○
いや、相手は先生だから
チャニョル
チャニョル
先生でもなんでも!
○○
もー!分かったから!
チャニョル
チャニョル
じゃ、また明日学校のあと来るから
○○
はいよ
チャニョルは私の髪をクシャッと撫でると、満面の笑みで手を振りながら病室を出ていった。
…心配しすぎなんだよ、チャニョルは。

チャニョルがいなくなると私の病室は急に静かになって、なんだか寂しくなる。いつも居るんだもん。いなくなったらいなくなったで寂しいものだよね。
ブーッブーッ
iPhoneが鳴って、画面を見てみるとチャニョルからだった。

"俺がいなくて寂しくない?ㅋㅋ"


なんてまたふざけたメール。


▪寂しくないよ😛▪


そう返せばすぐに返ってくる返事。

"あっそ😐俺は寂しいのに〜ㅠㅠ"

○○
ふふ、馬鹿じゃないの
お調子者だな、ほんとに。
ギョンス
ギョンス
楽しそうですね
急に横から声が聞こえて心臓が飛びてるかと思った。見上げればド先生が居て、私と目が合うとにっこりと微笑んだ。
いつもいつも急に現れるから心臓に悪い……
○○
ド先生……びっくりしました
ギョンス
ギョンス
あ、ごめんね。ノックするべきでしたね
○○
あの、なにか?
ギョンス
ギョンス
様子を見に来たんです。何か困ったことありません?
○○
あー……大丈夫ですよ。
ギョンス
ギョンス
そうですか。…あれ、今日いた彼氏さんはもう帰ったんですか?
彼氏さん?え?チャニョルのこと?
○○
あ、いやあの。彼氏じゃなくて友達です…
あ、と目を見開いてド先生は驚いていた。
ギョンス
ギョンス
友達なんですか!てっきり彼氏さんかと思ってました…ごめんなさい、勘違いして
○○
いえ、大丈夫ですよ
私が笑顔でそう返すと、ド先生は困ったように眉を下げて笑った。その笑った口がハートの形をしてて、ちょっと不思議。
ギョンス
ギョンス
じゃあ…困ったことがあったらまた呼んでください。
○○
はい。
ギョンス
ギョンス
おやすみなさい。ゆっくり休んでくださいね
○○
ありがとうございます。おやすみなさい
ド先生はカルテかなにか紙にメモをしながら丁寧にお辞儀をして去っていった。
…礼儀正しくて優しい先生だな。チャニョルが言ってたような心配なんて全然ないじゃん。明日チャニョルに心配ないよってちゃんと言おうっと。

ベッドに横になって布団をかぶり考える。今日休んだ分、明日はリハビリ頑張ろう。

目を瞑ってしばらくすると、私の意識は夢の中へと移った。

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