第2話

第一章 噂の喫茶部②
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2023/01/03 23:00
相馬 実希人
相馬 実希人
ここは、一体……?
一歩足を踏み入れると、そこは異世界だった。

ヨーロッパの貴族の館を再現したような、シックでゴージャスなインテリア。

真っ白なテーブルクロスには豪華な花が飾られ、そこで六人の女子生徒が優雅にお茶を飲みながら歓談している。
相馬 実希人
相馬 実希人
(高級ホテルのティールームみたいだ……)
呆然とその様子を見ていると、執事のような黒いベストと白いシャツを着た、背の高い男の人がやってきた。
木間 樹
木間 樹
喫茶部のティーパーティーへようこそ。
招待状はお持ちですか
相馬 実希人
相馬 実希人
えっ?
見上げると、目鼻立ちのはっきりした、彫りの深い顔立ちのイケメンがこちらを見下ろしている。

長い髪を後ろで一つに束ねたその姿は、まるでバーテンダーのようだ。
相馬 実希人
相馬 実希人
(この人、高校生か……?)
すると、俺たちの間に小さくて可愛らしい男子生徒が入ってきた。
飴谷 すばる
飴谷 すばる
ねぇねぇ、君は招待状を持ってないの?
くりくりとした大きな瞳に見上げられて、ドギマギしてしまう。
相馬 実希人
相馬 実希人
えっと、
あいにく、そのようなものは……
相馬 実希人
相馬 実希人
(こ、この人も高校生……?)
同じ黒いベストでも、少年のような風貌の彼が着ると、童話に出てくる幼い王子様のように見える。
飴谷 すばる
飴谷 すばる
せっかく来てくれたけど、
招待状を持ってないと、ティーパーティーには参加できないんだぁ
相馬 実希人
相馬 実希人
いや、俺はティーパーティーに来たわけじゃなくて
飴谷 すばる
飴谷 すばる
あれ?
じゃあ、何の用だった?
相馬 実希人
相馬 実希人
用事というか、少し喫茶部の様子を見たくて……
飴谷 すばる
飴谷 すばる
あっ!
もしかして入部希望?
相馬 実希人
相馬 実希人
いや、そういうわけでは
すると、彼は申し訳なさそうな顔をして両手を合わせた。
飴谷 すばる
飴谷 すばる
ごめんね!
喫茶部に入りたいってう人は多いけど、誰でも入部できるわけじゃなくて……、
部長が見込んだ人しか入部できないんだ
相馬 実希人
相馬 実希人
部長が見込んだ人?
飴谷 すばる
飴谷 すばる
そうなの。
だから、ごめんね!
相馬 実希人
相馬 実希人
いや、別に俺は……
飴谷 すばる
飴谷 すばる
でも、一応報告はするから、
君の名前を教えて!
相馬 実希人
相馬 実希人
えっと、
一年、相馬 実希人ですけど
飴谷 すばる
飴谷 すばる
ふうん、実希人くんか……
飴谷 すばる
飴谷 すばる
じゃあ、ミッキーだね!
相馬 実希人
相馬 実希人
は?
ミッキーって!?
紅野 ルイ
紅野 ルイ
どうしましたか?
そこに、ひときわキラキラした気品漂う男子生徒がやってきた。
相馬 実希人
相馬 実希人
(な、なんだ?
このヨーロッパの貴族みたいな人は……! )
明らかにヨーロッパの血が流れているであろう、異国の顔立ちをしている。

透き通るような白い肌と、色素の薄い瞳。

キャラメルブラウンの柔らかそうな髪は、触れてみたくなるような美しさだ。
飴谷 すばる
飴谷 すばる
あっ、ルイルイ!
今、入部希望の子が来たんだけど
紅野 ルイ
紅野 ルイ
入部希望……?
きれいなヘイゼルカラーの瞳が、俺をとらえた。
相馬 実希人
相馬 実希人
いや、俺はその……
きれいなイケメンに見つめられて、口ごもってしまう。
紅野 ルイ
紅野 ルイ
はじめまして。
僕は喫茶部の部長、二年A組の紅野ルイです
相馬 実希人
相馬 実希人
一年D組、相馬 実希人です
つられて、俺も自己紹介してしまった。
紅野 ルイ
紅野 ルイ
相馬くん、喫茶部に興味を持ってくれてありがとう
紅野 ルイ
紅野 ルイ
しかし、喫茶部は部にとって必要な資質を持っていると見込んだ人物に入部してもらっているんだ
紅野 ルイ
紅野 ルイ
君は、何か特別な知識や自慢できるような特技を持っているかい?
相馬 実希人
相馬 実希人
……いえ、ありません
思わず、バカ正直に答えてしまった。

そもそも俺はコーヒー派で、ほとんど紅茶は飲まない。

そんな俺に、紅茶に対する技能や知識があるはずもない。
紅野 ルイ
紅野 ルイ
そうか……
紅野 ルイ
紅野 ルイ
でも、せっかく喫茶部に興味を持って、ここまで足を運んでくれたんだ。
お茶をご馳走しよう
相馬 実希人
相馬 実希人
え?
紅野 ルイ
紅野 ルイ
今日はちょうど生徒を招いてティーパーティーをしていたところだ。
とても上質な紅茶の茶葉が手に入ったから、ぜひ君にも飲ませてあげるよ
紅野 ルイ
紅野 ルイ
さあ、こちらに
相馬 実希人
相馬 実希人
はぁ……
あまりにも美しくスマートに案内され、少し離れた所に置かれた小さなテーブルについた。
相馬 実希人
相馬 実希人
(なんだか、変なことになったな……)
喫茶部にどんな奴がいるのか見に来ただけなのに、まさかここでお茶を飲むことになろうとは。
相馬 実希人
相馬 実希人
(それにしても、高校の部活とは思えない豪華さだな)
紅茶を待つ間に、部屋の中をじっくり観察する。

窓のカーテンはヨーロッパ風の豪華なものに付け替えられているし、わざわざ持ち込んだのか、椅子も教室の備品とは思えないシックなデザインだ。
相馬 実希人
相馬 実希人
(ここが第一特別活動室だってこと、忘れそうになるな)
中央の大きなテーブルには、豪華な花が置かれ、いかにも高級そうな茶器と食器が並んでいる。

さらには、おいしそうなスイーツが三段重ねのお皿に盛り付けられていて、もう女子にとっては夢の世界だろう。
紅野 ルイ
紅野 ルイ
お待たせしました
相馬 実希人
相馬 実希人
はっとして声のした方を見れば、お盆を持った部長さんが丁寧に一礼した。
相馬 実希人
相馬 実希人
ど、どうも
彼はスマートな手つきでティーポットのカバーを取ると、カップに琥珀色の紅茶を注いだ。
紅野 ルイ
紅野 ルイ
本日の紅茶をどうぞ
目の前にティーカップが置かれると、ふわりと紅茶の香りが漂う。
相馬 実希人
相馬 実希人
いただきます
たいした期待もなく、出された紅茶を口にした途端、
相馬 実希人
相馬 実希人
(なんだ、この紅茶は……!?)
俺は驚いて、手元のカップに目をやった。

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