玲也は、面倒くさそうな顔をした。

四郎の考えでは、人前に顔を晒して騒がれるのが嫌だと言う。

『獣の涙』を書いたのは中学生ってことは、世間に広まっているが、今のところ、作者が四郎だと知っているのは、兄弟とFling Posseの三人だけだ。

玲也はやり投げ風に言った。

それから、少し玲也と四郎で話をしたあと、玲也は仕事で帰っていった。

四郎は、二郎のいきなりの発言に驚いた。

四郎は、言おうと思ってやめた。

ため息をついたあと、四郎と二郎は準備をして家を出た。

二郎は、さっさと行ってしまった。

てか、なんでわざわざ兄弟の書いた本を読みたがるんだろう。

他の有名な人のを読めばいいのに。

二郎が読み終わった後に、どんな顔して会えばいいかわからない。

三郎だと、内容が薄いだとか意味がわからないだとか言われそうだけど、二郎なら、率直な感想しか言わなさそう。

四郎は、幻太郎の本のコーナーに向かった。

しばらくして、二郎が『獣の涙』を買い、その後に四郎が、幻太郎の本を買って本屋を出た。

四郎は、二郎の目を見た。

緑と黄色の瞳が綺麗に輝いている。

二郎の声が、やけに明るくなっている。

普段、三郎と小競り合いばかりしているせいか、三郎のことをよく知ってるのは、二郎だった。

三郎のことになると、二郎の言葉には説得力がある。

二郎の目の先には、ある男二人がいた。

いきなり四郎が叫んだから、三人とも驚いて目を見開いていた。

こんなところで、MAD TRIGGER CREWに会うとは思いもしなかった。

もし二郎に、左馬刻と四郎が知り合いだとバレたら、三郎のように怒るはずだ。

さすがに、兄弟二人に知られるのはまずい。

四郎はさりげなく挨拶をし、すごい目つきで二人を見た。

何を察したかは知らないが、二人はお互い名乗り出した。

銃兎と理鶯二郎が、少し嫌味のこもった会話をしている。

四郎は、早くこの場から立ち去りたくて、丁寧にお辞儀をしたあと、二郎を連れて家に向かう。

四郎は、二郎の腕を強く引っ張って行った。

銃兎は、小さく笑った。