第8話

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2019/03/15 08:23
四郎は、今電車に乗っている。

四郎が向かっているのはヨコハマだ。

左馬刻と話をしにいくところだった。












山田 一郎
山田 一郎
四郎、どこ行くんだ?
紮生達と解散したのが、11時半。

家に帰り、昼ごはんを食べると、四郎はまた家を出ようとしていた。

すると、玄関で一郎に呼び止められたのだ。
山田 四郎
山田 四郎
ヨコハマ
山田 一郎
山田 一郎
ヨコハマ?
一郎の目がギッと鋭くなった。
山田 一郎
山田 一郎
何をしに?
山田 四郎
山田 四郎
何って、いち兄ちゃんには関係ないことだよ
山田 一郎
山田 一郎
ちゃんとどこで何するのか伝える約束だろ
山田 四郎
山田 四郎
......ヨコハマで知り合いと買い物
四郎は、目を逸らして答えた。

知り合いというのは嘘ではないが、買い物は嘘だった。

一郎は、少し四郎を見ていたが、ため息をつき『行ってこい』と言った。
山田 四郎
山田 四郎
(いち兄ちゃんの睨んだ時の目、結構迫力あるんだよな)
一郎は、四郎と左馬刻が仲良いのを知らない。

そのことに感謝し、四郎は家を出た。












山田 四郎
山田 四郎
左馬刻さーん
昔のようにノックもせず、舎弟の奴らを気にせずに、左馬刻の事務所に入った四郎は、中を見て絶句した。
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
あぁ!?
山田 四郎
山田 四郎
うわ、きったね
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
んだ、てめぇ!
久しぶりに面見せたと思ったら、生意気言いやがって!
山田 四郎
山田 四郎
久しぶりだね、左馬刻さん
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
四郎、てめぇ、来るタイミング間違ってんぞ!
俺様は今気が立ってんだよ!
山田 四郎
山田 四郎
(あぁ、めんどくさい時に来ちゃったか)
左馬刻はイライラしながら、煙草を吸っている。

きっと何かあったんだろう。

いや、これは確実にあった。

左馬刻は元々キレやすい性格だけど、根は優しい。

昔から四郎と仲が良かったから、四郎も左馬刻を信用していた。
おや?
貴方は誰ですか?
いきなり、部屋の真ん中のソファーの方から声がした。
山田 四郎
山田 四郎
あんたこそ......って、警察?
入間 銃兎
入間 銃兎
申し遅れました
私、入間銃兎です
きちっとした髪型に制服。

なんでこんな人がヤクザの事務所にいるのか、四郎には理解出来なかった。

そして、もう一人、軍人の服を来た男がいる。
入間 銃兎
入間 銃兎
ほら、理鶯も挨拶しなさい
毒島メイソン理鶯
毒島メイソン理鶯
うん
小官は、毒島メイソン理鶯だ
よろしく頼む
どう見てもヤクザには見えない格好だ。
山田 四郎
山田 四郎
(だから、何で軍人の服来た男がヤクザの事務所にいるんだよ)
入間 銃兎
入間 銃兎
貴方の名前は?
山田 四郎
山田 四郎
山田四郎です
いつもの王子様スマイルをした四郎の心の中は、クエスチョンマークでいっぱいだ。
入間 銃兎
入間 銃兎
左馬刻とはお知り合いで?
山田 四郎
山田 四郎
そうですね
毒島メイソン理鶯
毒島メイソン理鶯
山田四郎......どこかで聞いたような響きだな
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
一郎のくそボケの弟だ
入間 銃兎
入間 銃兎
山田一郎の!?
銃兎は、びっくりした顔をして四郎をまじまじと見た。
入間 銃兎
入間 銃兎
た、確かに面影はありますね
でも、なぜここに?
山田 四郎
山田 四郎
左馬刻さんに話があるんです
秘密の話なので、少しだけ二人きりにしてもらえませんか?
毒島メイソン理鶯
毒島メイソン理鶯
それは構わない
では銃兎、少し外に出るとしよう
入間 銃兎
入間 銃兎
そうですね
では左馬刻、また後で来ます
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
おうよ、すまねぇな
そうして、銃兎と理鶯が事務所から出ると、四郎は王子様スマイルをやめた。
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
てめぇのその豹変ぶり、相変わらずじゃねぇか
山田 四郎
山田 四郎
何、今さら
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
昔は誰にでもあの笑顔だったのにな
山田 四郎
山田 四郎
その話、今どうでもいいんだけど
四郎は、ソファーに座り、無愛想に言う。
山田 四郎
山田 四郎
左馬刻さん、この事務所煙草臭い
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
うっせぇ!文句言うな!
......で?何の用だよ
いきなり四郎が来た時よりは、左馬刻の機嫌が少し良くなっている。

話していて気が紛れたのだろう。
山田 四郎
山田 四郎
左馬刻さんさ、俺達がまたLittle Tigersに戻れると思う?
すぐに本題に入るのではなく、昔の話をして左馬刻の反応を窺った。
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
知らねぇよ
それはお前らの問題だろーが
山田 四郎
山田 四郎
俺達にだってどうしようもない......てか、俺悪くないし
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
てめぇがそうやって思い込んでるから、仲悪くなったんじゃねぇの
山田 四郎
山田 四郎
なんで俺?
思い込んでるの、あいつだし
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
......柳か?
四郎は、それには答えなかった。

だが、左馬刻は四郎が答えなくてもわかっている。
山田 四郎
山田 四郎
............俺達のこと、他に知ってる奴いるのかな
碧棺 左馬刻
碧棺 左馬刻
さぁな
左馬刻は、いつもの態度でいつもの表情だ。

動揺したり変に反応したりしていない。



これはもしかして、シロだったりする?
四郎は、慎重に言葉を選び、本題に入ろうと決めた。
山田 四郎
山田 四郎
俺達......誰かに正体バレてるんだよ
四郎の言葉を聞いて、左馬刻は何の反応も示さなかった。

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