第4話

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2019/03/12 02:45
山田 四郎
山田 四郎
ちょっ、じろ兄ちゃん!!!
四郎は慌てたように二郎の方を振り返った。
山田 二郎
山田 二郎
え、何......
山田 四郎
山田 四郎
何って......!
勝手に言うとか!
飴村 乱数
飴村 乱数
もしかして、最近話題になってる中学生作家?
夢野 幻太郎
夢野 幻太郎
あぁ、天才作家だとかで有名になってますね
有栖川 帝統
有栖川 帝統
へぇ、中学生も作家なんて出来るんだな
夢野 幻太郎
夢野 幻太郎
出来ますよ
学校との両立は難しいですが
飴村 乱数
飴村 乱数
四郎くんすっごぉい!!
乱数は目をきらきら輝かせて四郎を見た。
山田 四郎
山田 四郎
えっ......あ、いや......えっと......
四郎はいきなりのことで戸惑い、どう誤魔化そうかと考えていた。
山田 四郎
山田 四郎
俺は......そんな......い、今のは間違いで......
山田 一郎
山田 一郎
四郎
必死に違うと嘘をつこうとした四郎を、一郎が止めた。
山田 一郎
山田 一郎
いいじゃねぇか
本当のこと言っちまえよ
別に恥ずかしいことじゃないんだ
山田 四郎
山田 四郎
......
四郎は、自分が作家であることをあまり世間に出したくなかった。
山田 四郎
山田 四郎
はい、いくつか本出してます
少し赤くなった顔を下に向け、小さな声で言った。

その声は、どうやらみんなに聞こえたらしく、乱数と帝統は目を一層輝かせていた。
有栖川 帝統
有栖川 帝統
え、やば!
天才じゃん!
飴村 乱数
飴村 乱数
ねぇねぇ!僕、四郎くんの本読んでみたいなぁ!
山田 四郎
山田 四郎
え......!
夢野 幻太郎
夢野 幻太郎
小生も興味があります
飴村 乱数
飴村 乱数
またうちに遊びにおいでよ!
その時に本持ってきてほしいなぁ!
有栖川 帝統
有栖川 帝統
お!それいいな!
どうだ?
三人の反応は、四郎が思っていたのと違っていた。

褒めてもらえたということが嬉しくて、段々と表情が明るくなった。
山田 四郎
山田 四郎
は、はい!
また今度来たときに持ってきます
四郎は兄弟の前では滅多に見せない笑顔で笑った。


三人と四郎が連絡先を交換して、別れたあと四郎達は家に向かった。
山田 一郎
山田 一郎
今日の夕食何がいい?
山田 二郎
山田 二郎
ハンバーグ!
山田 三郎
山田 三郎
はっ!二郎はお子ちゃまだなぁ!
山田 二郎
山田 二郎
んだと!?
山田 一郎
山田 一郎
三郎は何がいいんだ?
山田 三郎
山田 三郎
オムライス!
山田 二郎
山田 二郎
てめぇもお子ちゃまじゃねぇか!
二郎と三郎は路上でいつもの喧嘩を始めた。
山田 一郎
山田 一郎
四郎は何がいいんだ?
山田 四郎
山田 四郎
俺は何でもいい
返答自体は無愛想だが、声は明るく、嬉しそうに笑っている。
山田 一郎
山田 一郎
はは!四郎嬉しそうだな!
山田 四郎
山田 四郎
か、顔に出てる?
恥ずかしさのあまり、かぁっと頬が熱くなるのを感じた。
山田 一郎
山田 一郎
素直でいいじゃねぇか
一郎は満面の笑みで四郎を見た。
山田 四郎
山田 四郎
うん
自分を認めてもらえた嬉しさがいつまでも四郎の心に残っている。



学校で一度誰かに知られたことはあったが、その時は確か馬鹿にされたはずだ。

陰キャだとかで、いじられた記憶がある。

いちいち下らない男子の名前など覚えていないが、それは二年前だった気がする。
四郎達は家に着き、ご飯を食べた。

メニューは、二郎が言ったハンバーグでも、三郎が言ったオムライスでもなく、四郎が最後に提案したすき焼きに決まった。





四郎が通っている学校はクラスが五つあり、四郎は一組で三郎が二組だった。
立花 雅和
しーろー!
山田 四郎
山田 四郎
わっ!
ちょっと!驚かせないでよ!
王子様と呼ばれる明るく優しい四郎が、学校にいた。
四郎の友達である立花雅和は、いきなり四郎の目の前に顔を近づけた。
立花 雅和
四郎がぼーっとしてるからだろー!
なぁ、今日遊ぶだろ?
山田 四郎
山田 四郎
んー、どうしよっかな
一組の女子
四郎くんも遊ぼうよぉ!
一組の女子
一緒に遊ぼ~!
一組の女子
四郎くんが行くなら私も行くー!
立花 雅和
ほら、女子達もこう言ってるし、な!
山田 四郎
山田 四郎
んー......確か、今日用事あったんだよね
四郎は、少し考える仕草をした。
一組の女子
えぇー!!
山田 四郎
山田 四郎
行くのはやめておくよ
ごめんね
四郎の笑顔を見た瞬間女子は、笑顔になった。
一組の女子
用事があるなら仕方ないね!
また今度にしよっか!
一組の女子
うん!そうね!
四郎の言葉を聞いて、遊ぶのをやめた女子達は帰り際、四郎に笑顔で手を振られて、嬉しそうにしていた。
立花 雅和
お前......用事って......
山田 四郎
山田 四郎
本当なんだって
ごめんね、雅和
また明日!
そう言って四郎は学校を出ていった。
教室では、『あいつってまじで格好良いよな』などと、男子の間でその様な会話が繰り広げられていた。

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