三人とも、俯いている四郎を見た。

四郎は、その場で立って動かない。

四郎の部屋には、重苦しい空気が漂っている。

『リーダーのくせに！！』

柳の言葉が、四郎の頭にこびりついて離れない。

自然と、拳を握っていた。

拳を強く握りしめたところを、三郎が見ていた。


実は、三郎は昔から少し気づき始めていた。

四郎が、何か言えないことをしていることを。

だが、三郎はその頃には大人だったのだろう、何も聞かないし、疑って探ったりもしていない。

三郎も、本当は話してほしいに決まっている。

だが、四郎はそのことに気づいていない。

自分のことで必死だった。

今までのストレスや溜め込んだ不満、それが一気に爆発して、四郎は人に気を使っている余裕が全くない。

だから、普段適当に流してる二郎の言葉にも、何も言えなくなっていた。

すると、いきなり四郎は優しく包み込まれた。

一郎の大きな腕が、四郎をぎゅっとしている。

優しかった。

いつもの、明るい勢いのある声じゃない。

じんわりと暖かく感じる。

じわっと目頭が熱くなった。

四郎は、一郎の胸に頭を押し付けた。

四郎の声は、涙声になっている。

それでも、涙は流してないから、必死に耐えているのだろう。

声が震える。

四郎は、一郎の服を少し震えた手で掴んでいる。

それでも、一郎は四郎を優しく包み込む。

四郎の言葉にも動じずに、優しい声、優しい笑顔で言う。

そんな一郎の対応が、四郎の心にはすごく暖かい。

四郎の視界がどんどん歪んでいく。

えっ......。

一郎は、いつまでもどこまでも優しかった。

違う。
















そうじゃない。



















兄ちゃん達は、何も悪くない。

なのに......


















なんでいち兄ちゃんが謝るんだよ......

四郎は限界だった。



何もかも。

リーダーをすることも、隠し通すことも、期待に沿うことも。

でも、それをわかってくれる人、気づく人なんていない。

みんな、自分は関係ないと思ってるから。

だから、誰も俺を助けてくれない。

いつもそうだから。



でも、








本当は誰かに気づいて欲しかった。

わかって欲しかった。

誰でもいいから、救ってほしい。














こんなに惨めな俺を。