第90話

止まらない恋だった (1) 💓
5,231
2022/12/23 08:10



もしかしたら今日は帰ってきてくれるかもしれない







そんな希望を微かに抱きながらお風呂掃除をしていた






ピロンッ♪






ようやく洗い終わりシャワーで流していた時スマホが鳴った





彼からの連絡かと期待してスマホを手に取ると






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♡♡事務所



ご新規様でのご予約のお知らせ



11月6日 12時 



180分コース



なにわロイヤルホテル



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事務所からやった





メールに一通り目を通す





大西「はぁ、新規で180分か…」





常連なら喋ったりして〜とかわかるけど…




新規の人で初っ端からこんなロングタイムは大体変な奴やねんな




この前の新規のおっさんの120分コースは



風呂にも入らんし強引に入れるしゴム付けろって言っても付けへんし




もちろんブラックリスト入りさしたけど




終わった後は何にもできやんくらいの疲労感やった




で、次180分…






なにをさせられるんやろ





今から憂鬱で仕方ない






憂鬱で仕方ないけど…それでも彼のためにやるしかない






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ここか…



なんか凄いホテル



ほんまにここであってんのか?




いつもは安っぽいラブホテルばっかりやから




こんな高級ホテルなんて初めてで緊張する




ピンポーン




ガチャ




大西「あっあの、、」





「あっ流星くんですか?」





大西「はい!そうです
   よろしくお願いします」





「どうぞ」




まってまって、めっちゃイケメンやねんけど…





扉が開いた瞬間出てきた相手は





顔面のパーツ全てが完璧と言っていいくらいに整っていて身長も高くてスラッとした男性やった





「そんなとこ立ってないで

 どうぞ入ってください」




全ての言葉、仕草がかっこよかった




大西「あっすいません、、」





道枝「初めまして、流星くん
   僕は道枝駿佑と言います。よろしく」




大西「初めまして、今日はよろしくお願いします。」





ペコっと頭を下げて相手を見上げた




身長…何センチくらいあるんやろ…





大西「あっ道枝さん先シャワー浴びてきてください」





道枝「いや、今日はゆっくり流星くんとお話がした
   くて予約したんです」




大西「え?僕とですか?」




道枝「はい、、実は前から流星くんと話してみたい
   と思ってたんです…」






大西「なんでですか…?」





道枝「7日前この近くを男の子と歩いてたでしょ?
   その時に可愛いなって気になって部下に調べ
   させたんです…」





大西「そうなんですか…」





部下?調べた?僕なんか狙われてるん!?





やっぱり、、やばい人なんかな…





道枝「あの時一緒に居たのは…彼氏さん?」




確か1週間前は…




たしかに、側からみれば僕と彼はこういう人たちからすればそう見えるかも知れない





でも実際は…





大西「は、はいそうです…すいません…」





道枝「謝らないで下さい
   彼氏だって事も知ってました
   
   嬉しいです、、嘘つかないでくれて…」




大西「いや、とんでもないです…」



少し嘘をついてしまった



まあ、この仕事をしてたら嘘なんて別に普通や



本当はお金の関係で繋がっているだけ



僕にお金が無かったら彼は僕なんて見向きもしないだろう




道枝さんの方を見ると少し嬉しそうに笑っていた




本当にかっこいいな…




なんでこんなイケメンがこんな店利用するんやろ






道枝「彼氏さんとは長いんですか?」



それとも、本当に話をしたかった…だけなんかな?





大西「いえ、まだ1年くらいです」




道枝「そうなんだ〜彼氏さんは優しい人?」




大西「……はい」





なにが狙いなんやろ……









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あの…本当にこれ食べていいんですか…?





道枝「どうぞどうぞ、好きなだけ食べてください」





しばらくたわいもない話をしてたらチャイムが鳴りホテルマンが次々に料理を運んできた





ドラマとかに出てきそうな高級そうな食器に盛られたお肉やサンドイッチやスイーツ




サンドイッチもこんなお皿に盛り付けたら全然見栄えが違うな





大西「すいません、ありがとうございます。
   頂きます…」





僕は遠慮していたけど道枝さんのご厚意に甘えて結局ご馳走になった




僕が食べているのを見て道枝さんはずっとニコニコしている





ほんまにこんなんでお金までもらっていいんかな…





道枝「流星くん…」





大西「はい」





食事をしていたら道枝さんが僕に深妙な面持ちで話しかけてきた




道枝「彼氏さんのこと少し調べたんですけど、」






大西「…」




道枝「僕、彼が他の男と歩いてるのを見たんです」




大西「はい、知ってます……」





道枝「じゃあなんで…流星くんが辛いだけじゃ…」





大西「でも、こんな僕を好きで居てくれるの彼
だけ
   やから…」




僕が俯いてると道枝さんが僕に肩を寄せ抱きしめた





道枝「僕なら…僕やったらそんな辛い顔させない」




大西「道枝さん…?」




道枝「僕は流星くんを泣かせたりしません」




大西「っ…」




いつの間にか頬に伝っていた涙を道枝さんが拭き取ってくれた




今のままじゃあかんってことくらいわかってた




ただ、貢がされ



ただ、依存するように仕向けられてることも




でも一人ぼっちやった僕に居場所を与えてくれた彼の存在は僕にとって全てやった





道枝「流星くん…僕が流星くんの隣にいたいです」




大西「ぇっ、」




真剣な眼差しで伝えられた道枝さんの想いは


僕のいつもの底辺な日常とは到底想像もつかないような事で




この人と一緒にいられたら幸せなんだろうなと想像してしまった







大西「ありがとうございます。





   



    でも…ごめんなさい」

















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