第8話

初めてのボランティア活動
夏休み、某日。


今日が、私にとって最初のボランティア活動の日。


今回の内容は、近隣の区域に住む小学生たちが参加するキャンプのお手伝いだ。


毎年夏休みには恒例で行われているもので、私も昔参加した記憶がある。
蓮井 丈春
蓮井 丈春
朋果ちゃん、行こうか。
まずは他のメンバーに挨拶しよう
真弓 朋果
真弓 朋果
はい!

集合場所に到着すると、ボランティアサークルの人たちが既にわらわらと集まっていた。


丈春さんに連れられて、他のスタッフに頭を下げる。
真弓 朋果
真弓 朋果
初めまして。
蓮井さんにご紹介いただいて、今日参加させていただきます。
真弓朋果です。
よろしくお願いします!
サークルメンバー
サークルメンバー
あら~、よろしくね!
若いお姉さんが来て、子どもたちも喜ぶわぁ
サークルメンバー
サークルメンバー
あ、真弓さんとこの娘さんか!
若いのに、感心だなぁ

メンバーのほとんどが、子どもたちの家族関係者や保護者なので、純粋な外部の若者スタッフは数が少ないと聞いている。


感心だと褒められても、純粋に子どもたちを支援したいという気持ちでは来ていない。


まずは〝自分のため〟に、ここに来たのだ。
真弓 朋果
真弓 朋果
(それでも、今やれることは精一杯やろう!)

後ろめたさを覚えてはいるけれど、来たからには彼らに負けないくらい頑張りたい。


緊張しながら腕章を腕に通し、スタッフの仕事について説明を受ける。


隣には丈春さんがいてくれるから、不安はあまりなかった。



***



私たちの仕事の内容は、子どもたちを怪我なく過ごさせ、寝食のサポートをすること。
子ども
子ども
おねーちゃん! これ、魚かかってる?
真弓 朋果
真弓 朋果
うーん……。
浮きが沈んでないから、多分かかってないと思う
子ども
子ども
ねえねえ、これ全然火がつかないよ!
真弓 朋果
真弓 朋果
まだ火種ができてないね。
煙がたくさん出るまで、これを強く回転させてみて
子ども
子ども
お姉ちゃん、こっち支えて!
真弓 朋果
真弓 朋果
はいはーい! 今行くからね!

釣りや火起こし、テントの設営、夕食の飯ごう炊さんなど、ひっきりなしに子どもたちに振り回される。
真弓 朋果
真弓 朋果
(私が小学生の時って、こんなに元気だったっけ?)

自分ももしかすると、ボランティアで参加していた大人を困らせていたかもしれない。


そう思うと、大人の苦労を知ることができてよかったと感じる。


それに、無邪気な子どもたちと過ごす時間はとても楽しい。


人見知りせず懐っこい子どもたちに、ごまとだいふくの様子を重ねては笑ってしまう。
真弓 朋果
真弓 朋果
(丈春さんが先生を目指したくなる気持ちは、なんだか分かる気がする)

忙しくしていると時間はあっという間に過ぎ、みんなで作ったカレーを食べて、キャンプ場の風呂に入り、夜になった。


今日の最後のイベントは天体観測。


みんなが交代で望遠鏡を覗き、夏の大三角やさそり座、いて座を見つけてはしゃいでいる。


私も星座盤を片手にみんなを見守っていたところ、丈春さんが歩いてどこかに行くのが見えた。
真弓 朋果
真弓 朋果

様子を窺っていると、彼は子どもたちの輪に入れないでいる女の子に声を掛けた。


小学三年生くらいだろうか。


尻込みしているのか、他にも理由があるのか、丈春さんが何かを伝えても首を横に振っている。
真弓 朋果
真弓 朋果
(全然気付かなかった……。さすがだなぁ)

参加人数が多いとはいえ、今まで彼女を気にかけてやれなかったことが、悔しい。


彼のことだから、キャンプが始まって以来、ずっと女の子を気にかけていただろう。


丈春さんに尊敬の念を抱くと同時に、自分の不甲斐なさを痛感した。


【第9話へつづく】