第10話

青春よりも
真弓 朋果
真弓 朋果
ふあぁ……。
課題が、終わってない……

夏休みに入ってすぐのボランティア活動では、ちょっとした交通費だけをもらったものの、そんなの必要ないくらい不思議な充足感で満たされた。


それに、自分にも何かできることがあるんだと思えて、わずかだけど自信をつけることもできた。
真弓 朋果
真弓 朋果
(学校の先生っていう選択肢ができたな……)

子どもたちとの交流は楽しかった。


丈春さんのように、子どもと関わる仕事を目指すのもありかと思い始めはしたものの――まだまだ見聞を広めたい。


焦りは禁物だと判断して、あれ以来ボランティア活動の話がくると、予定が合う限りひとまず参加するようにしている。


今日までにやったのは、図書館の書庫整理やスポーツ大会の補助スタッフ、小中学生の勉強会のサポート、地域の清掃活動などだ。


どれも一日で終わるものなので、時間をとるのは難しくないし、体を動かしたり誰かと交流したりするのは好きだ。


でも、〝私のやりたいこと〟は、まだ見つかっていない。





そうしてお盆が過ぎ、八月後半に入った頃。


ボランティアサークルの代表者から、夏祭り会場の裏方を手伝う話が舞い込んだ。


どうやら運営スタッフに数名の欠員が出たらしく、もし予定が合うなら手伝ってもらえないかということだった。
真弓 朋果
真弓 朋果
夏祭り、かあ

自室の中に、友達数人と買いに行ったばかりの浴衣が飾ってある。


一緒に行く約束をしていたので、しばしその浴衣を見つめて迷ったけれど、「参加します」と返信した。


ボランティア活動にはやりがいを感じていたし、夏祭りならまだ来年がある。


もっと見聞を広めて、早く目標を決めたいという焦りが生まれていた。


それが自分の青春を潰してまでやるべきことなのか、疑問こそあるけれど、今の気持ちに従った結果だ。


友達全員に理由を伝えて謝ったところ、みんな快く許してくれた。


「頑張っている朋果、かっこいい!」と言ってくれて、嬉しかった。



***



夕方になり、気分転換に散歩をしようとマンションの外に出た。
ごま
ごま
ニャーン
真弓 朋果
真弓 朋果
あっ、ごま大福コンビ

玄関から数メートル歩いたところで、ごまとだいふくに遭遇する。


私は彼らに随分と慣れてきて、今では餌も手からあげられるくらい成長したのだ。
真弓 朋果
真弓 朋果
おいでおいで。
ごはんは持ってないけど

手招いて話しかけると、ごまとだいふくは私を見つめる。


いつもなら少しは寄ってきてくれるのに、今日はぷいっとそっぽを向いて、どこかへ去っていった。
真弓 朋果
真弓 朋果
えー……。
前はあれだけすり寄ってきてたのに。
気まぐれだなぁ
蓮井 丈春
蓮井 丈春
あはは。
さすがの朋果ちゃんも、ついに振られたねぇ

悲しくて独りごちたところに、後ろから聞き慣れた声がした。


【第11話へつづく】