第7話

出来ること
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2018/03/03 12:01
あれから、暇があれば病院に行って話した。

学校の話をして、あれこれ話して二人で笑って・・・

そうしていると、寿命があと少しなんて感じなかった。

毎日が楽しくて・・・

でも、そんなある日のことだった。

一面銀世界に包まれて、春、満開に咲いていた桜の木は雪で覆われていた。

そんな、寒い日。

公立高校入試の前期で、国際科を受けて受かった私は、暇を持て余していた時期。

・・・・・・彼は、この世から去った。

ちょうど、卒業式まで一か月もないくらいの日だった。

相当心臓が弱っていたみたいで、ここまで生きられたのがすごいっていうくらいらしい。

その事実を受け入れたくなくて、嘘だって言ってほしくて、病院へ行った。

彼がいた病室のベッドは、真っ白でもう何もなかった。

しんと静まり返った病室。

彼の温かい声が聞こえることはなかった。

「侑介・・・・侑介っ!!!」

名前を叫んでも返事なんて返ってこない。

せっかく、仲良くなれた。

・・・・初恋だったのに。

初めて好きになった人に思いを伝えられないままだ。

もう、もう届かない・・・

「一緒に・・・・卒業する・・・・約束はっ?守るって・・・言ったじゃんっ!!!」

叫んでも、返ってこないのはわかってる。

でも・・・・

桜岡『侑介って呼んでよ!』

桜岡『あなた!!』

その声が頭から離れなくて・・・・

彼の笑った顔が、頭から出ていかなくて・・・

「侑介ッ・・・・」

零れ落ち続ける涙は、誰もいない病室の床を濡らしていく。

私は、どうすればいい?

侑介に、できることは?

一日中、考えた。

勉強なんて、手を付けずに考え続けた。

侑介のために私ができること。

直接的なことはできないけど・・・

でも・・・・・

何かしてあげたい。

私が考え付いたのは、単純で、でも彼との約束を果たすことだった。

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