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第10話

エピローグ
38
2018/03/04 11:21
・・・数年後

「いってきまーす!」

誰もいない家にそう叫ぶ。

まだ慣れないヒールをはいて、桜の木の下まで急いだ。

「ごめん!遅れた!」

彼氏「全然!待ってないから!」

そう言ってふわっと笑ったのは、私の今の彼氏。

「ふふっ!じゃあ、いこ!」

そう言って、手をつないで歩く。

途中で花屋さんに寄った。

綺麗な花が並ぶ中、薄ピンクで桜の花に似ているのを選ぶ。

彼氏「本当に好きだね!」

「うん!大好き!」

綺麗に花束にしてもらって、ある場所に向かう。

桜の並木道を二人ゆっくり歩いた。

花びらを何枚か拾って、ポケットに入れる。

彼氏まで手伝ってくれて。

そして着いたのは、墓地だった。

「変わってないなぁ・・・」

そうつぶやいて、入っていく。

その一角。『桜岡家』の文字。

そこに、さっき購入したばかりの花束を添えて、ポケットの桜の花びらを置いた。

「これが、今年の桜だよ!あと、彼氏できたんだ!」

そう、侑介に紹介しに来たの。

彼氏のこと。

私の初恋の人に紹介するなんて変な話だよね!

でも、私にとって侑介は大事な人だから。

彼氏「絶対に幸せにします!」

そう言って頭を下げている彼氏。

「幸せにしないと、呪い殺すって言ってるよ!きっと!」

彼氏「なんだよそれ!」

再び歩き出す。

桜岡『お幸せに。』

ハッと振り返った。

でも、そこには誰もいなくて・・・

彼氏「どうしたの?」

「ううん!何でも!」

ずっとずっと、見てくれているんだよね。

そう空に問うたら、風が私の背中を押した。











『ちゃんと見てるからね、あなた。』











end

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