私の名前はあなた
18歳
私の家は貧乏で
テレビもないし
お父さんも出ていった
学校ではいじめられ
優しかったお母さんも変わり果ててゆき
虐待されるわ、追い出され
可哀想な人生を送ってきたのです
そして今日、お母さんまで家を出ていきました
はあ…一人暮らしか…
寂しさもあるけれど
少し気が楽になったかもしれない
なんだか喉乾いたな
コンビニでも行こうかな
でもお金が300円しか無い
でもいいや、一応行こう
スタスタスタ…
家から5分程のところにある
コンビニに着いた
家 と言ってもボロボロで
家 とは言えない 家 だ
チャチャチャチャチャチャーチャチャチャチャチャ♪
コンビニの入店音が流れた
どれにしよう
安いやつにした方がいいかな
んーと…お茶でいいや 割引だし
スッ…レジにいる店員に商品を差し出した
ピピッ
ワサワサ…
私はスッと100円を差し出した
スタスタスタ
はぁ…はぁ…
コンビニを出た
おもわず独り言を言ってしまった
あれ、あそこに誰かいる…
誰だろう…あの男の人…
1人なのかな…ずっとこっちを見てる
なんだか、かっこいいな…
ずっとこっちを見られたら
恥ずかしいよ…
日本人…じゃなさそうだな…
いくらテレビをみてなくて貧乏でも
日本人と外国人の区別くらいつく
あれ、あの男の人こっちに向かって
手 振ってる…?
あれ、気のせいかな?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!