第63話

ちょっと昔話 Part5
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2022/06/09 09:05





 倒れた雨㮈を助ける人などおらず、一刻一刻と意識が薄れていく。




 それに対応して雨眼の色も薄くなっていったのは、知ってる人は少ないだろう。




 母親の楓は、実家に呼ばれており高専にはおらず、父親の悟は言うまでもないだろう。




 そんな雨㮈を見つけたのは悟の同期であった、家入硝子だった。




 ただ、発見した頃にはすでに虫の息、助かる見込みも薄かった、そして、どんどんと色が薄くなっていく雨眼。




 雨眼は無色透明となってしまうと、機能が失われ、術師としての死を迎えたのち、生命の限界も訪れる。




 雨眼保有者は歴史上でも片手分ほどしかおらず、正確なことはわからないとされているが、雨眼保有者は、体内の30%を呪力で満たしており、その呪力が半分を切ると生命活動に支障をきたし、5分程度で死に至るとのこと。




 雨㮈には体内の呪力が足りておらず、息を吹き返すのは絶望的だった。




 しかし、悟たちが伏黒甚爾との決着をつけ、呪力が安定したため、段々と良くなっていった。




 その後状況を聞いた家入硝子は、悟の呪力が空中に溶け込んでおり、それを雨㮈が吸収したからだろうと言っていた。




 その後更に成長した雨㮈は、出くわした高等呪霊にこう言い放った。




「身に余る力は己を滅ぼし、他人も滅ぼし、
    お互いが滅ぼし合うことでしか、
      世界に平和も均一も現れることなどない」




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