悟の高専入学時には、すでに雨㮈は、術式を自覚していた。
通常、術式の発現、自覚は5歳から6歳頃だと言われているが、度重なる逃亡生活、そして幾度か死線を感じてきた雨㮈が、自衛のために本能的に術式を感知したという結論に落ち着いた。
成長は早いもので、一人で歩き回ったり、高専で飼ってる呪霊を何度も祓ってしまい、怒られることもあったそうな。
それでも、悟も楓も何も言わず、家の都合でできた子といえど、きちんと愛情を持って接していたとその時を知るものは口を揃える。
4歳になる頃には、相伝の術式が完全に顕現し、それからはまた五条家から再三の帰宅命令を受けることとなった。
雨眼、そして五条相伝の無下限呪術。
揃うはずのないピースが揃ったとき、呪霊への影響も強まり、より一層均一崩れていくことになった。
総監部は雨㮈を殺せと騒ぎ立て、現役呪術師からは生かせと言われ、五条家に於いては、それは危険だと意見を一変させ封印しろと言ってきた。
双方が求めるものは矛盾し、そして極めてどの選択肢も難解であった。
結局、高専に留まり、さらに雨㮈が自衛のため術式が使えるようになることを待つしかなかった。
追記:6月7日誤字の修正
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。