ピンクに着色されたわたあめを美味しそうに頬張る栞
紫色の浴衣を着てきてくれたし…
なんていうか、もう
言葉では表現できないかわいさ
『ん?食べる?』
じーっと見つめていたのがわたあめだと勘違いしているらしく、わたあめを俺の方に傾ける
アイスの時も思ったけど、抵抗ないのかな
と思いつつも、口に運んだ
フワッとした食感がしたと思ったら、すぐに消えて無くなってしまう
『おいしいでしょ?』
「うん。俺焼きそば買ってくるわ。しょっぱいもん食べたい」
『わかった。ここで待ってるね』
と言った彼女の小さくて可愛らしい手を握る
「一緒に行くぞ。さっきも言ったけどほんとに迷子になるから」
『あ、うん』
この繋いだ手を離したくない
栞の隣にいたい
でも
"好き"と素直に言う勇気は
さっきのわたあめみたいに
フワッと現れては、すぐに消えていく
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!